植物の対被食防衛に見られる遺伝的多型現象を出発点としつつ、対象を生物の相互作用の下で見られる多型現象全般に広げながら、それらの進化ダイナミクスを協力ゲームの観点から理論的に研究した。協力ゲームにおいては、個体が協力のために提供した投資に基づいて利益が決まる。本研究の結果、投資に対する利益や損失の関数の形によって、戦略の多型の発生条件が大きく変わることが明らかになった。例えば、「投資の総和が利益を決める場合」と「個々の投資が結果をもたらし、その総和が利益となる場合」を比較すると、前者では進化的分岐に伴う多型が生じうるのに対して、後者ではそれが決して起きないことなどが示された。
|