近年、世界的に農地周辺の半自然植生において農地の放棄や集約化に伴う生物多様性の減少が報告されている。この研究課題では、日本における水田の耕作放棄および集約化(圃場整備)が水田畦畔上に成立する里草地の植物およびチョウやバッタなどの植食性昆虫の多様性を減少させているメカニズムを明らかにすること目的とした。研究の結果、放棄畦畔や圃場整備畦畔では植物及びチョウ・バッタ類の種数が伝統的畦畔と比べて半減していること、この多様性の減少は草刈り頻度の減少(放棄畦畔)や増加(圃場整備畦畔)に起因していること、多様性を高く保つには年2-3回の草刈りが良いことを明らかにした。
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