今後の研究の推進方策 |
敗北の記憶(学習)持続日数に対して、人為選抜実験をさらに続け負け記憶そして、戦うべきか、逃げるべきかの意思決定を行うことのコストベネフィットについて繁殖形質なども記録して調べる。選抜した個体を用いて、ゲノム解析知識を駆使し負け記憶時間の異なるオオツノコクヌストモドキ系統間で学習・記憶、そして時間を操るタイマー遺伝子に関してマウスとハエにおいてすでに作用がわかりつつある遺伝子(学習系:cAMP, CREB,IGF, 各種アミンレセプター、時計遺伝子系:per, cry, tim, clk, cyc など)の機能比較とRNA干渉実験を行い、闘争すべきか?繁殖すべきか?を決める昆虫の機能遺伝子の集中的な探索を行い、闘争の意思決定と繁殖様式といった生態システムの適応度関数に関わる分子生態基盤について精査する。さらにJHなどとのリンクについても調べる。RNA干渉個体とコントロール個体の組み合わせで、オス間闘争を行わせ、敗北の記憶時間の短縮・延長、勝利の記憶時間への修飾を調べる。オス間闘争で敗北した敗者は、数日間、逃走を続けるが逃走中でもメスに遭遇すると、交尾行動を試みる。その際には、射精量を増加させ、自身の適応度を増加させるスニーカー戦略にスイッチが切り替わる。本研究では、上記で摘出された遺伝子のオスの射精戦略のスイッチへの関与についても生態遺伝メカニズムを調査する。
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