研究課題/領域番号 |
23570029
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
安井 行雄 香川大学, 農学部, 准教授 (30325328)
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
一般に雄は多くの雌と交尾するほど多くの子供を残せるが、雌は複数の雄と交尾しても子を増やすことはできない。しかし多くの動物で雌は複数の雄と交尾する。この「雌の多回交尾」の進化は行動生態学・進化生態学の重要な研究課題である。本研究は限界の見えてきた従来の性淘汰理論による説明ではなく、産卵スケジュールや成虫寿命といった生活史形質の進化に伴う副産物として雌の多回交尾の進化を捉え、アズキゾウムシ雌の交尾回数の変異が、長期人工飼育環境下での意図せぬ淘汰によって副次的に生じたという仮説を検証する。平成24年度は前年度に野外由来の多回交尾系統と長期累代飼育を経た1回交尾系統を交雑して作った基礎個体群に対する給餌計画と産卵時期による人為淘汰実験(非給餌・初期卵選抜と給餌・後期卵選抜)を継続している。系統・選抜区によって異なるが現在10~12世代ほどの淘汰が実施されている。雌の再交尾率データに関しては、世代ごとの振動が大きいものの徐々に非給餌・初期卵選抜系統における低下が見られるようになった。ただし生活史形質からの遺伝相関を介した間接的な淘汰であるため、十分な選抜区間の分離が得られるにはさらなる淘汰の継続が必要である。一方直接的に選択のかかる生活史形質には予期した傾向がさらに明瞭になっている。今後も淘汰と形質測定を継続して仮説の検証を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと人為淘汰実験はアズキゾウムシのような世代の短い昆虫を利用するとしても、長い時間と多くの労力を要するものである。また実際に飼育を行うと予期せぬトラブルが生じて計画通りには行かず、実験の遂行が遅れがちになることもよくある。それらを考慮しても本研究の進捗状況は非常に順調だといえる。その理由としてすでに数年前から予備的な研究を行っており、材料の扱いに習熟していること、研究室内の体制の整備ができていることなどがあげられるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度なので、人為淘汰実験の累積した効果を毎世代の比較、および基準累代飼育系統との比較によって検討する。雌の生涯交尾頻度という性的形質、寿命や産卵数、産卵スケジュールといった生活史形質間の関係を明らかにするため多変量統計解析を行う。また体サイズ(闘争能力と関係すると思われる)や後翅サイズ(飛翔能力と関係すると思われる)といった形態形質も測定し、交尾頻度や生活史形質との関係も検討する。またデータの解析や予測のためにコンピュータシミュレーションや数理モデルを用いた理論的研究も発展させ、投稿論文を執筆したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
コンピュータシミュレーションや数理モデルを用いた理論的研究のための資料収集や、解析ソフトウェア購入、論文出版費用を支出予定である。海外の研究者との共同研究のため海外旅費を支出する。
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