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2013 年度 実績報告書

雌の多回交尾の進化は生活史進化の理論(r/K戦略)から説明できる

研究課題

研究課題/領域番号 23570029
研究機関香川大学

研究代表者

安井 行雄  香川大学, 農学部, 准教授 (30325328)

キーワード性選択 / 雌の多回交尾の進化 / evolution of polyandry / 生活史進化 / life history evolution / アズキゾウムシ / r/K戦略
研究概要

一般に雄は多くの雌と交尾するほど多くの子供を残せるが、雌は複数の雄と交尾しても子を増やすことはできない。しかし多くの動物で雌は複数の雄と交尾する。この「雌の多回交尾」の進化は行動生態学・進化生態学の重要な研究課題である。本研究は限界の見えてきた従来の性淘汰理論による説明ではなく、産卵スケジュールや成虫寿命といった生活史形質の進化に伴う副産物として雌の多回交尾の進化を捉え、アズキゾウムシ雌の交尾回数の変異が、長期人工飼育環境下での意図せぬ淘汰によって副次的に生じたという仮説を検証する。平成25年度は前年度に引き続き野外由来の多回交尾系統と長期累代飼育を経た1回交尾系統を交雑して作った基礎個体群に対する給餌計画と産卵時期による人為淘汰実験(非給餌・初期卵選抜と給餌・後期卵選抜)を継続し、通算20回ほどの淘汰を実施することができた。最終世代での雌の再交尾率(初回交尾5日後における)は非給餌・初期卵選抜区で10%以下、給餌・後期卵選抜区で40%程度となり、生活史形質に対する人為分断淘汰が雌の交尾頻度に相関反応をもたらしたことが確認された。雌の寿命や産卵数、産卵スケジュールなどの生活史形質にも直接の応答が得られ、非給餌・初期卵選抜区では給餌・後期卵選抜区に比べて繁殖が前倒しとなり、初期産卵数の増加(後期産卵数の減少)、生涯産卵数の減少、寿命の短縮、後期卵の孵化率と後期卵から生まれた子供の羽化率の減少などの傾向が得られた。得られた膨大なデータの分析には時間を要するが、これらの結果により雌の交尾頻度が生活史形質と関連して進化するという仮説は支持されたと考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 生活史戦略としての雌の多回交尾の進化2014

    • 著者名/発表者名
      安井行雄
    • 学会等名
      日本応用動物昆虫学会第58回大会
    • 発表場所
      高知大学朝倉キャンパス
    • 年月日
      2014-03-27
  • [学会発表] 真空乾燥による昆虫標本作製2013

    • 著者名/発表者名
      安井行雄
    • 学会等名
      日本昆虫学会四国支部第52回大会
    • 発表場所
      ラ・フォーレつるぎ山
    • 年月日
      2013-07-20
  • [学会発表] ミヤマカラスアゲハ蝶の構造色における光学特性評価

    • 著者名/発表者名
      伊賀 千紘, 大津 朋也, 安井 行雄, 山口 堅三
    • 学会等名
      応用物理・物理系学会中国四国支部合同学術講演会
    • 発表場所
      香川大学工学部
  • [図書] 行動生物学辞典2013

    • 著者名/発表者名
      上田恵介ほか編
    • 総ページ数
      637
    • 出版者
      東京化学同人

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公開日: 2015-05-28  

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