一般に雄は多くの雌と交尾するほど多くの子供を残せるが、雌は複数の雄と交尾しても子を増やすことはできない。しかし多くの動物で雌は複数の雄と交尾する。この「雌の多回交尾」の進化は行動生態学・進化生態学の重要な研究課題である。本研究はアズキゾウムシ雌の交尾回数の変異が、長期人工飼育環境下での意図せぬ淘汰によって副次的に生じたという仮説を検証した。野外由来の多回交尾系統と長期累代飼育を経た1回交尾系統を交雑して作った基礎個体群に対する給餌計画と産卵時期による人為淘汰実験(非給餌・初期卵選抜と給餌・後期卵選抜)を通算20回以上実施し、おおむね予測と合致する結果が得られた。
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