メダカ属魚類をモデルに,繁殖可能な個体の出現の季節的集中度を,温帯から熱帯にかけて緯度の異なる種間/集団間で比較した.室内飼育実験の結果,熱帯種より温帯種の方が,さらに温帯種の中でも低緯度より高緯度の集団の方が,メスの一腹卵数が多く,産卵間隔も短いことがわかった.また,野外における定期採集調査の結果,高緯度の種/集団ほど繁殖可能な雌雄が季節的に短期間に同調して出現する傾向にあり,低緯度の種/集団に比べて,一年を通して実効性比の偏りが小さいことがわかった.これらの結果は,高緯度の種/集団ほど,季節的環境に対する生活史適応の結果として,性淘汰圧が弱まっていることを強く示唆している.
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