研究課題/領域番号 |
23570032
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
河原崎 里子 首都大学東京, 理工学研究科, 研究員 (00450726)
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キーワード | 多年生草本 / 長期モニタリング / 個体群動態 / 年次変動 |
研究概要 |
林床草本の大半は多年生で、開花までに長い年月を要する。その中でも、多回繁殖型のものは繁殖開始後も長く生きるものがある。10年を超す個体群のモニタリングから、春植物カタクリは開花までにおよそ10年を要することや、一回繁殖型のウバユリはおよそ8年で開花して生涯を全うするが、開花に至れたものは単調増加的な成長をしたものに限り、途中でマイナス成長であったものは開花に至らずに死亡することなどが既存研究では明らかになっている。クルマバハグマ(キク科)は夏緑性の多回繁殖型林床草本である。我々のこれまでの15年以上にわたるクルマバハグマ個体群モニタリングでは、種子から繁殖に至った個体を確認していない。その成長は、単調増加的なものだけでなく、長期にわたり停滞しているもの、また、減少し続けているものがある。長命な植物の成長パターンを解明するためには長期のモニタリングが必要であると考えられる。個体群調査を継続し、成長を現実的な精度で捉えたいと考えている。個体群調査を継続しており、特に、成長が停滞、または、減少している個体のサイズ変化を明らかにしている。 また、繁殖個体は、ほぼ毎年開花するが、翌年の個体群への新規加入実生の数の年次変動は大きく、ほとんど実生が確認できない年がある一方で、数年に一度、多くの加入がある。この年次変化がどのような要因によって起きるのか調査を続けてている。 栽培実験は、糖分析技術の習得とともに、実験対象植物のサンプリングと栽培環境への順化をすすめ、準備が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長命な多年生草本の個体群動態を追跡することによって、その生活史の特性を明らかにすることが本研究の目的である。個体群のモニタリングの当該年分は順調に進んだ。また、別途予定している栽培実験の準備も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね計画通りである。 個体群モニタリングを継続し、より長期のデータを収集する。 栽培実験により、被陰の程度が成長に与える影響を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は消耗品等が安価に購入でき、効率的に予算を執行できた。次年度についても、おおむね計画通りに使用する。 旅費を調査および学会・研究打ち合わせに、物品費を調査・実験用品等の消耗品費に用いる。また、適宜、研究補助と英文校閲等に謝金を支払う。
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