本種の体色のうち銀色部分と黒色部分について、その反射スペクトルを計測した。その結果、銀色部分では波長350nm付近までの紫外線領域を含む広い波長領域で一様な反射特性を示す事が明らかになった。また、黒色部分では、可視光領域では黒く見えても紫外線領域では光っているというような現象は見られず、どの波長領域でも低いレベルの反射特性を示した。このことは、過去に実験および野外観察で得られた黒色個体の高い採餌成功が、黒色個体が餌の目からは目立って見えるために餌誘因が生じているのではなく、餌に発見されにくい事で相対的に銀色個体より有利になっている事を示している。この結果は、待ち伏せ型捕食者における隠蔽の意義を示すものであるとともに、本種の色彩変異の維持に採餌成功の個体間変異が関与している事を示すものとして重要である。
この結果と、平成25年度に得られた、異なる体色を持つギンメッキゴミグモをT字管を用いて餌の一種であるショウジョウバエに提示したときに、黒色個体のいる方向により多くのショウジョウバエが向かったと言う結果について、論文を作成し学術雑誌に投稿した。
本年も平成25年度までと同様にギンメッキゴミグモの飼育を継続し、親子間の体色データを増やす事を試みた。しかしながら本年は、おそらく降雨量の多さが原因で、飼育に失敗するケースが多かった。また、平成25年度までに開発した、ギンメッキゴミグモの飼育方法について、過去の失敗例との比較を行いながら説明した論文を作成した。
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