ギンメッキゴミグモ腹部背面は黒色部と銀色部からなり、前者の面積比は個体間で20-100%と変異する。野外調査から春は銀色個体が優占し、夏にかけて黒色率の高い個体が増加し、秋にかけて再び減少する事、黒色個体は夏季に造網場所が制約される事、飼育実験から黒色率が遺伝形質である事、餌による選択実験から黒色率が高いと餌捕獲の点で有利な事が示された。被捕食率・網場所移動率と体色との関係は見られなかった。適応度指標の一つである肥満度は中程度の黒色率でピークを示した。これらから銀/黒色個体の相対的有利さが季節により変わる事が色彩変異が維持される理由だと示唆されるが、確かな結論を出すには今後も調査が必要である。
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