研究課題/領域番号 |
23570041
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
伊藤 江利子 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (20353584)
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研究分担者 |
長谷川 成明 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60509280)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 繁殖資源 |
研究概要 |
養分飽和が樹体内の資源貯蔵に与える影響を明らかにするため、連年施肥下で育成した養分飽和ウダイカンバ個体の樹体内に貯留された資源量(窒素・炭水化物)の経年変化を測定している。初年度である当年度は資源貯蔵量調査を開始した。森林総合研究所北海道支所実験林内において1974 年4月に植栽され、1978 年より連年施肥下で育成されたウダイカンバを利用した。2010年以降の施肥量はN、P、K、がそれぞれ110、24、46、kg ha-1である。この養分飽和個体と、植栽年度は同じだが無施肥で育成した養分制限個体、各10個体から、展葉開始前に当年枝(2011年伸長枝)・1年枝(2010年伸長枝)・幹・根・雄花・葉芽・雌花芽を採取し、炭水化物濃度(可溶性糖類・デンプン)をフェノール・硫酸法により測定した。可能性糖類の濃度は雄花で高く(10%、平均値、以下同)、幹や根の木部で低かった(< 3%)。デンプン濃度はいずれの部位も1%以下で、相対的に高いのは根木部(0.83%)、低いのは幹木部(0.21%)だった。施肥処理による差異は、雄花における可溶性糖類と根木部におけるデンプンに認められ、どちらも養分制限個体の方が高濃度であった。全窒素・炭素濃度については測定中である。種子成熟に用いる資源における貯蔵物質の寄与度を明らかにするため、豊作年であった当年度に安定同位体標識実験を行った。種子成熟期間である7月末に資源貯蔵量調査対象個体のうち一部個体(養分飽和個体と養分制限個体に対し各2個体)の根元に安定同位体窒素を散布し、約1ヶ月後に分析試料を採取した。採取部位は資源貯蔵量調査に準ずる。また繁殖量の経年変化を測定するため、林内にリタートラップを設置し、継続測定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りにサンプル採取・分析が進行中である。現時点までに終了した分析結果は交付申請書に記載した予測を裏付ける樹体内資源蓄積パターンを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
経年調査を継続する。また、2011年がマスティング年となったため、研究期間中にマスティング年調査の繰り返しが可能となる見込みである。
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次年度の研究費の使用計画 |
経年調査のサンプル採取・分析に研究費を使用する。また昨年度から持ち越した予算は初夏~夏の果実成長期に行う予定であった、樹体内炭水化物含有量の季節変動を明らかにする補助実験に用いる。この補助実験は科研費の慎重な執行についての留意を受け、昨年度は実施を見送ったものである。
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