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2011 年度 実施状況報告書

キメラセンサーを用いたヒスチジンキナーゼの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 23570046
研究機関筑波大学

研究代表者

鈴木 石根  筑波大学, 生命環境系, 教授 (10290909)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードヒスチジンキナーゼ / 二成分制御系 / シアノバクテリア / 枯草菌 / シグナル検知
研究概要

ヒスチジンキナーゼ(Hik)は、細菌・カビ・植物に保存されたセンサーキナーゼである。Hikは一般にN末側の配列の多様性に富んだシグナル検知ドメインとC末側の保存性の高いキナーゼドメインからなる。本研究の目的は、ラン藻のリン酸応答性Hik、SphSのキナーゼドメインに機能未知のHikのシグナル検知ドメインを融合したキメラセンサーを細胞内で発現させ、センサーがアクティブであれば、SphSの制御下にあるアルカリフォスファターゼ活性が発現することを利用して、機能未知のHikの機能とシグナル検知の関わるドメインの同定を目指すものである。ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803の低温・高塩濃度・高浸透圧・強光・酸化ストレスに応答するマルチストレスセンサーのHik33のシグナル検知ドメインとSphSのキナーゼドメインのキメラセンサーをSynechocystis 細胞内で発現し、Hik33のシグナル検知をSphSの出力として評価できる系を構築した。Hik33のシグナル検知ドメインに存在する、2つの膜貫通ドメイン・その間のペリプラズミックループドメイン・PAS・HAMPの各ドメインの欠損および点変異を導入したキメラセンサーを発現することにより、膜貫通ドメインは配列・その数に関係なく必要であること、PASドメインとHAMPドメインはどちらかがあれば機能でき、相互に抑制的な関係にあることを見出した。以上の結果は論文として取りまとめており投稿中である。 また、枯草菌の低温感受性のHik、DesKのシグナル検知ドメインとSphSのキナーゼドメインのキメラにより、DesKが温度の低温への変化に応答してSphSにより発現制御を受けるアルカリフォスファターゼの発現を誘導することを示し、DesKの膜貫通ドメインのアミノ酸の点変異により、温度感受性に重大な影響をおよぼす残基を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の研究経費の使用状況は当初予定より少なかったが、研究の進捗状況はほぼ予定通りに進んでいる。複数のHikのシグナル検知ドメインとSphSのキメラを完成させ、その中でも特にHik33についての解析は多いに成果があった。この内容に関しては論文を投稿しており、近いうちに受理される予定である。また、枯草菌のHikとSphSとのキメラについても当初の予想以上の成果があった。この内容に関しては現在論文を執筆中である。当初の予定にあった、SphSのシグナル検知ドメインと機能未同定のHikのキナーゼドメインとの融合に関しては、まだ十分進んでいない。今後はこの点については今後計画に沿って進める必要がある。

今後の研究の推進方策

研究の進捗状況から考えて、今後も計画に沿って進めることで問題は無い。これまでどおり機能未同定のHikのシグナル検知ドメインとSphSのキナーゼドメインを融合したキメラセンサーを発現する株の解析を進め、Hikのシグナル検知の分子機構を明らかとする。枯草菌のHikの機能解析をラン藻細胞内でキメラセンサーを発現して行うことは十分実績をあげることができたので、ラン藻以外の生物に由来するHikについてもこのシステムを用いて解析することが可能である事が証明された.今後は植物由来の植物ホルモン受容体として機能するHikについても解析を進めたい。 また、1年目(平成23年度)には十分進められなかった、SphSのシグナル検知ドメインと機能未同定のHikのキナーゼドメインとのキメラセンサーをSynechocystis細胞内で発現させ、リン酸欠乏条件でどの様な遺伝子群の発現が誘導されるかについての解析を進め、その機能未同定Hikの制御下にある遺伝子群の特定とその遺伝子群の特徴から、Hikの機能に迫る解析をぜひとも進めたい。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度は既存の設備で研究を進めた。H23年度から繰り越した経費で、様々な変異体の作製・解析に不可欠な、ゲル撮影装置(ATTO社PrintGraph)のカメラコントローラー(AE-6905CF)の更新を検討する。これまで使用してきたものは、フロッピーディスクでしかデータを取り出せず、デジタルデータの取り扱いが容易ではなかったが、この更新によりコンパクトフラッシュによりデータを取り出せる様になる。合わせて画像解析ソフトCSアナライザー(ATTO)の購入も検討する。その他の経費は研究計画に則り研究を遂行するための、試薬類・制限酵素・分子生物学用キット類・プライマー合成・DNAシークエンスキット・ガラス器具・ディスポーザブルプラスティック器具等に充てる予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (8件)

  • [学会発表] 石油代替を可能とする微細藻類技術2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      化学工学会関東支部 第18回イブニングセミナー(招待講演)
    • 発表場所
      東京都(東京理科大・森戸記念館)
    • 年月日
      2012年3月30日
  • [学会発表] 炭化水素産生藻類~被災地復興に貢献する藻類バイオマス~2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      第2回「筑波大学研究成果 発表フォーラム 2012」(招待講演)
    • 発表場所
      東京都(筑波大学東京キャンパス)
    • 年月日
      2012年1月28日
  • [学会発表] 海洋ハプト藻類のアルケノン合成経路の解明とオイル生産への基盤技術の開発に向けて2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根・白岩善博
    • 学会等名
      日本光合成学会シンポジウム(招待講演)
    • 発表場所
      京都市(京都大学)
    • 年月日
      2011月6月4日
  • [学会発表] 石油起源生物円石藻類のアルケノン合成経路の解明とその利用2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      微細藻類生産性研究会(招待講演)
    • 発表場所
      名古屋市(名古屋大学)
    • 年月日
      2011年9月30日
  • [学会発表] 藻類バイオ燃料の現状と将来展望2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      第6回先端農学シンポジウム「脂質~滑らかに理解し、さらっと付き合う」(招待講演)
    • 発表場所
      仙台市(東北大学)
    • 年月日
      2011年11月24日
  • [学会発表] In vivo analysis of sensory kinases by chimeric proteins2011

    • 著者名/発表者名
      Iwane Suzuki
    • 学会等名
      The 6th Germany-Japan Binational Seminar, Microalgal Products: From Metabolic Fundamentals to Promising Applications(招待講演)
    • 発表場所
      Freibrug-Munzingen, Germany
    • 年月日
      2011年11月1日
  • [学会発表] オイルを生産する藻類2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      群馬大学「フロンティアリーダーコース(FLC)」先端研究講座(招待講演)
    • 発表場所
      桐生市(群馬大学)
    • 年月日
      2011年11月14日
  • [学会発表] 石油を作る『藻』2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木石根
    • 学会等名
      CEATEC JAPAN 2011[未来予測2012-2025【ライフ】~生命の神秘に迫るテクノロジー~](招待講演)
    • 発表場所
      千葉市(幕張メッセ)
    • 年月日
      2011年10月6日

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公開日: 2013-07-10  

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