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2011 年度 実施状況報告書

高等植物細胞壁のアラビノガラクタン-プロテインの糖鎖構造と機能

研究課題

研究課題/領域番号 23570048
研究機関埼玉大学

研究代表者

円谷 陽一  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (10142233)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード植物細胞壁 / 細胞壁多糖 / アラビノガラクタン-プロテイン / ガラクタナーゼ / エノキタケ
研究概要

植物の細胞壁は主にセルロースと各種の多糖(ペクチン、ヘミセルロース)ならびにアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)と呼ばれる糖タンパク質で構成される。本研究ではAGPの糖鎖に着目し、糖鎖を特異的に分解する酵素の探索、酵素遺伝子のクローニング、酵素によるAGP糖鎖の断片化と構造解析、得られたオリゴ糖の生理機能解析を目指す。 申請者達は、微生物起源の酵素を検索・精製して、AGP糖鎖の特異的分解酵素(特定の糖鎖配列を認識して分解する酵素)を見出した。このうち、エキソ-β-1,3-ガラクタナーゼとエンド-β-1,6-ガラクタナーゼは新規な酵素であり、EC numberが付与されている。本申請課題では、さらなるAGPの糖鎖分解酵素の検索と精製を目指す。具体的には、エンド-β-1,3-ガラクタナーゼとエキソ-β-1,6-ガラクタナーゼに着目する。これら酵素を用いた糖鎖の断片化と構造解明を進める。得られたオリゴ糖の生理機能解明を試みる。これらの実験ステップによってAGPの糖鎖構造・機能相関に関する知見の進展を図る。 平成23年度はエンド-β-1,3-ガラクタナーゼの探索を行い、エノキタケ培養液に酵素活性を見出した。培養液からイオン交換クロマトグラフィーとゲルろ過クロマトグラフィーにより酵素を精製した。精製酵素の相対分子量は30 kDa だった。精製酵素のN末アミノ酸配列を調べ、その配列をもとにエノキタケcDNAデーターベースを利用して全長cDNAを単離した。cDNAを発現ベクターに組込み、ピキア酵母を用いて組換え酵素を作製した。様々な多糖類を用いて酵素の基質特異性を調べたところ、ネイティブ酵素、組換え酵素いずれもβ-1,3-ガラクタンに最も活性を示した。これらの成果を専門誌(Journal of Biological Chemistry, 286巻, 2011年)に発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成23年度の研究実施計画では、エノキタケ培養液からのエンド-β-1,3-ガラクタナーゼの精製を予定していたが、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等で酵素を精製することができた。実施計画では平成24年度に目的酵素をコードしている遺伝子をクローニングする計画であったが、平成23年度内にクローニングが終了し、またピキア酵母を用いて組換え酵素タンパク質を発現・調製できた。Native酵素と組換え酵素の一部の性質を明らかにすることができた。これらの研究成果は論文として発表した。研究実施計画より早く研究を進めることができ、満足のいく研究達成度であると自己評価している。

今後の研究の推進方策

研究実施計画より研究を早く進めることが出来たが、平成23年度と、平成24年度予定の一部のみが達成済みで、他の予定項目について研究を進める。実施計画に従って、本研究で得られたエンド-β-1,3-ガラクタナーゼならびに当研究室で調製した各種酵素を用いてAGP糖鎖の断片化(オリゴ糖化)する。得られたオリゴ糖の構造解析を化学的・酵素的手法ならびに機器分析によって解析する。さらに、研究最終年度の平成25年度には得られたオリゴ糖の生理機能を明らかにできるように、平成24年度では生理活性測定方法の検討を進める。

次年度の研究費の使用計画

交付申請の年度別・費目別内訳に基づいて研究費を使用する。物品費では、50万円以上の物品購入の予定はなく、実験遂行に必要な機材、試薬、等の購入に充てる。旅費は国内学科参加費、申請書に記載した専門技法を有する研究協力者との協議費用、等を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Endo-β-1,3-galactanase from winter mushroom Flammulina velutipes2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihisa Kotake, Naohiro Hirata, Yuta Degi, Maki Ishiguro, Kiminari Kitazawa, Ryohei Takata, Hitomi Ichinose, Satoshi Kaneko, Kiyohiko Igarashi, Masahiro Samejima, and Yoichi Tsumuraya
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 27848-27854

    • 査読あり
  • [学会発表] Endo-β-1,3-galactanase from winter mushroom Flammulina velutipes and its action on arabinogalactan-protein2011

    • 著者名/発表者名
      Toshihisa Kotake, Naohiro Hirata, Yuta Degi, Maki Ishiguro, Kiminari Kitazawa, Ryohei Takata, Hitomi Ichinose, Satoshi Kaneko, Kiyohiko Igarashi, Masahiro Samejima, and Yoichi Tsumuraya
    • 学会等名
      The 4th Conference on Plant Wall Biosynthesis
    • 発表場所
      淡路夢舞台国際会議場(兵庫県)
    • 年月日
      2011年10月3日
  • [備考]

    • URL

      http://www.molbiol.saitama-u.ac.jp/bussitsu/index_j.html

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公開日: 2013-07-10  

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