研究概要 |
「共生の成立には、宿主植物のリポ多糖結合タンパク質(LBP)による根粒菌リポ多糖の認識が必須であるかどうかを明らかにする。」ことが目的である。そのために、ミヤコグサの4種のLBP遺伝子(LjLBP1,LjLBP2, LjLBP3, LjLBP4)に着目し、次の3つのサブテーマを設定した。(1)LBP遺伝子の発現を強化、及び、抑制した形質転換毛状根の共生成立過程の解析、(2)LBP遺伝子変異植物体の共生成立過程の解析、(3)根および根粒の組織・細胞でのLBPの局在部位の解析。最終年度の研究成果は次の通りである。 サブテーマ(1): RNAiによるLBP遺伝子の発現抑制形質転換毛状根を作出し、根粒菌との共生に関する表現型を検討したが、依然として発現抑制の程度や表現型が安定しなかった。そこで、RNAi用の遺伝子ベクターの再構築に取り組んだ。新たに3種のRNAi用遺伝子ベクターを構築したものの、形質転換毛状根を誘導し、発現抑制の効果、及び、表現型を確認するには至らなかった。 サブテーマ(2):ホールプラント形質転換植物体の中から、LjLBP1とLjLBP2については、発現が抑制された系統を選抜することができた。また、LjLBP3/4については、発現が上昇した系統を選抜できた。これらの系統の表現型を解析した結果、LjLBP1の発現抑制と矮化の関係が示唆された。しかし、共生に関する表現型との関係を明らかにすることはできなかった。LORE1が挿入されたライブラリーのなかに、LjLBP遺伝子、及び、その近傍に挿入された15系統があることが判明し、表現型の解析に着手した。 サブテーマ(3):蛍光タンパク質mOrangeとLjLBP遺伝子との融合遺伝子を使用して、ミヤコグサの根における局在部位を検討した。その結果、LjLBP2タンパク質については、細胞外へ分泌されていることが強く示唆された。
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