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2011 年度 実施状況報告書

定量的機能解析による葉緑体分裂制御システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23570059
研究機関琉球大学

研究代表者

伊藤 竜一  琉球大学, 理学部, 准教授 (50322681)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード機能解析
研究概要

植物細胞において、葉緑体はその中央で均等分裂することにより、同サイズ・同形態の葉緑体を一定個数まで増殖させる。葉緑体が自らの中央を認識するために必要なタンパク質としてミンタンパク質などが知られているが、中央認識の分子レベルでの原理は未解明である。この問題の解明には精密な定量的分析が不可欠であり、従来の定性的手法では不十分である。本課題は、葉緑体分裂制御システムの定量的機能解析法を新たに開発し、これを利用して各種分裂制御因子の機能を解明することを目的とする。 上記の目的のため,葉緑体分裂因子の発現レベルを任意のタイミングで上昇(=発現誘導)させることができる遺伝子組換え植物(シロイヌナズナ, Arabidopsis thaliana L.) を作出することを試みた.具体的には,薬剤 (17-beta-estradiol) の投与濃度により外来遺伝子の発現レベルを調節できる転写因子-プロモーター系,XVE システム(Zuo et al. 2000)を利用することによって,葉緑体分裂因子をコードする8種類の遺伝子に関して,計16種類の誘導発現型遺伝子組換えシロイヌナズナを確立することができた.このうち,一部のラインに関して,発現誘導が葉緑体の形態,サイズ,細胞あたりの数に及ぼす影響を調べた.その結果,葉緑体分裂因子の発現レベルの上昇は,必ずしも全ての組織・細胞に一様に影響を与えるものではなく,細胞分裂や細胞の分化状態によって影響の有無が大きく異なることが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度においては,葉緑体分裂因子をコードする8種類の遺伝子に関して,計16種類の誘導発現型遺伝子組換えシロイヌナズナを確立することができた.また,一部のラインに関しては,発現誘導の効果を観察,検証することができた.これらの成果は,交付申請書に記載した「研究実施計画」の平成23年度分に正確に対応するものであることから,本研究の実施状況はおおむね順調であると評価している.

今後の研究の推進方策

平成24年度においては,遺伝子発現レベル-葉緑体分裂相関の定量解析を下記のように進める予定である.[1] 葉緑体分裂表現型の定量化 上記の遺伝子組換え XVE ラインの実生(播種後10日)について,様々な濃度の 17-beta-estradiol を添加したMurashige-Skoog 液体培地中で回転振盪培養をおこない,経時的に葉緑体形態を観察し,顕微鏡に接続した高感度 CCD カメラを介して画像を記録する.画像解析ソフトウェア Image J を利用して,葉緑体分裂表現型を (1) 細胞当たりの個数,(2) 葉緑体の平均サイズ,(3) 葉緑体サイズのばらつき(サイズ均一度)という3つのパラメーターで定量的に表現する.[2] 発現レベルの確認と定量 上記の観察で,estradiol 添加による葉緑体形態の変化が見られたラインについて,estradiol によって実際に導入遺伝子の発現レベルが上昇していることを確認するため,RT-PCR 法による mRNA レベルの定量,蛍光イメージャーと ECL Plus 法とを組み合わせた定量的 Western blotting 法によるタンパク質レベルの定量(抗 epitope tag 抗体,または抗 GFP 抗体で検出),または,蛍光顕微鏡下での GFP 蛍光強度の測定に基づくタンパク質レベルの定量(GFP-tagged line に関して)をおこなう.

次年度の研究費の使用計画

平成24年度においては,設備備品の購入予定は無い.消耗品に関しては,植物栽培・培養のための用土・寒天・栄養塩類など,スライドグラスや光源用水銀ランプなどの顕微鏡用品,ピペッターチップ・マイクロチューブ・ディッシュなどのプラスチック製品,分子生物学試薬各種(RT-PCR に用いる Taq DNA ポリメラーゼ,ECL 検出用キット,Western blotting に使用する市販抗体各種など,発現解析のための試薬)を主として購入する予定である.旅費として,学会等での研究成果発表のための出張経費(交通費・宿泊費)1回分,および,連携研究者(東京在)との研究打合せのための出張経費1回分を使用する予定である.また,研究成果発表に関連した費用として,上記の他に論文別刷代1報分(消耗品費)および英文校閲費1報分(謝金)の使用を計画している.この他,研究の迅速化のため,実験補助員の雇用(謝金)に本研究費を使用する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Visualization of plastid movement in the pollen tube of Arabidopsis thaliana2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto T. Fujiwara, Yasushi Yoshioka, Tomonari Hirano, Yusuke Kazama, Tomoko Abe, Kensuke Hayashi, Ryuuichi D. Itoh
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 7 ページ: 34-37

    • DOI

      10.4161/psb.7.1.18484

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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