• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

定量的機能解析による葉緑体分裂制御システムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23570059
研究機関琉球大学

研究代表者

伊藤 竜一  琉球大学, 理学部, 准教授 (50322681)

キーワード機能解析
研究概要

植物細胞において、葉緑体は均等二分裂により、同じサイズの葉緑体を増殖させる。葉緑体が中央を認識するために必要なタンパク質はいくつか知られているが、葉緑体による中央認識の分子レベルでの原理は解明されていない。この問題の解明には精密な定量的分析が不可欠であり、従来の定性的手法では不十分である。本課題は、葉緑体分裂制御システムの定量的機能解析法を新たに開発し、これを利用して各種葉緑体分裂制御因子の機能を解明することを目的とする。また、今年度から新たに、新規の葉緑体分裂制御因子遺伝子を同定し、同遺伝子について定量的機能解析法を適用することを目指して、変異体の取得と原因遺伝子同定も並行しておこなった。前年度は,上記の目的のため,葉緑体分裂因子の発現レベルを任意のタイミングで上昇(=発現誘導)させることができる遺伝子組換え植物(シロイヌナズナ)を計16ライン確立した.今年度は、これらの誘導発現型遺伝子組換えシロイヌナズナを利用して、一過的な葉緑体分裂制御因子遺伝子の発現上昇が、植物体の発生・成長・分化に与える影響を詳細に観察した。その結果、葉緑体分裂因子(8遺伝子)の発現レベルの上昇は、どれも発芽を抑制することはなかった。しかしながら、一つの遺伝子について、その一過的過剰発現が幼若個体のgrowth arrest、および、pale green化を引き起こすことが明らかとなった。葉緑体分裂因子遺伝子の過剰発現、発現抑制、変異、破壊などにより、成長が顕著に阻害された例はこれまで報告されておらず、葉緑体分裂と個体成長とをリンクさせる新現象として興味深い。上記の実験と並行して、葉緑体形態変異体を新たに2種取得した。SSLPマッピングとゲノムシークエンシングとを組み合わせることにより、それぞれの原因遺伝子候補を2~3遺伝子に絞りこむことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究実施計画」の平成24年度(以降)分と比較すると、発現量の定量などが行えていない点では、当初の実施計画からやや遅れている。これは、作出した各遺伝子組換えラインの個体間で、結果のばらつきが非常に大きく、実験条件の再検討と適正化にかなりの時間を取られたことが原因である。しかしながら、新たに組み込んだ変異体の取得と原因遺伝子同定については、非常に順調に進んでいる。総体的に見れば、本研究の実施状況はおおむね順調であると評価する。

今後の研究の推進方策

平成25年度においては,
[1] 一過的な葉緑体分裂制御因子遺伝子の発現上昇によるgrowth arrestが見られたラインについて、各組織・器官に対する局所的発現誘導(17-beta-estradiolの塗布)をおこない、葉緑体分裂と細胞分化との相関を解析する。またこの実験において、様々な濃度の 17-beta-estradiol を用いることにより、定量的な解析を試みる。
[2] 新規葉緑体形態変異体について、変異体の詳細なcharacterization(細胞レベル、個体レベル)、原因遺伝子の確定(complementation実験)、遺伝子産物の局在解析、発現解析、葉緑体構造の観察などを進める。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度においては,設備備品の購入予定は無い.消耗品に関しては,植物栽培・培養のための用土・寒天・栄養塩類など,スライドグラスや光源用水銀ランプなどの顕微鏡用品,ピペッターチップ・マイクロチューブ・ディッシュなどのプラスチック製品,分子生物学試薬各種(Taq DNA ポリメラーゼ,市販抗体などの試薬)を主として購入する予定である.旅費として,学会等での研究成果発表のための出張経費(交通費・宿泊費)1回分,および,連携研究者(東京在)との研究打合せのための出張経費1回分を使用する予定である.また,研究成果発表に関連した費用として,上記の他に論文別刷代1報分(消耗品費)および英文校閲費1報分(謝金)の使用を計画している.この他,研究の迅速化のため,発現解析・電子顕微鏡観察・変異導入・カスタム抗体作製などの外部受託、実験補助員の雇用(謝金)に本研究費を使用する予定である.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 知の源泉 やわらかい南の学と思想・5(琉球大学 編)2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤竜一、他
    • 総ページ数
      443
    • 出版者
      沖縄タイムス社

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi