研究課題
植物ホルモンオーキシン(IAA)は、植物の発生、分化、成長、さらには環境応答に至る全生活環を通し重要な役割を果たすホルモンである。近年の研究により、IAAは作用するにあたりまず植物内を輸送され、厳密にその分布を制御することが示されており、その輸送に関わる多くのキャリアータンパクが同定されている。しかし、それらタンパクの重複性や相補性の問題などから、それぞれのキャリアータンパクがどのような植物の生理反応に貢献しているか示されていない。そこで、数あるキャリアータンパクの役割を個別に解析可能なツールとして、それぞれのタンパクに特異的な阻害剤を開発することを目的とし、阻害剤を用いた研究を発展させIAA 輸送キャリアーの生理的役割、さらには新奇輸送タンパクの発見とIAA 輸送分子メカニズムの解明を目指す。25年度までの研究により、市販のケミカルライブラリー(Maybridge社)からのスクリーニングで得られた、8つの新規なIAA輸送阻害剤候補についてより詳細な検討が行われ、その結果の一部は論文として発表した。25年度はさらに、2種のIAA流入運搬体に作用すると考えられる化合物について研究を進め、既知のIAA流入輸送体の阻害剤である1-naphthoxyasetic acid (1-NOA)の作用と比較したところ、一種は植物体内で実際にIAAの細胞内への取り込みを1-NOAとは異なる作用点で抑制する新規の搬入輸送阻害剤であることが強く示唆された。この成果は現在学会発表、および論文投稿中である。最終年度として、IAAの流出、流入運搬体に対して作用する可能性のある阻害剤を新たに見いだせてきている点、十分な成果に繋がったと言える。
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