研究課題
シアノバクテリアの3つのKai時計タンパク質による生物時計の再構成によって、時間計測という複雑な分子機構がタンパク質に組込まれていることが明らかにされた。しかし、生物時計によって生み出された概日リズムを、細胞がどのようにして遺伝子発現という形で出力しているのかについては不明な点が多い。本研究では、本来生物時計をもたない生物に時計機能を付与する試みを通して、分子時計が遺伝子発現の生体リズムを生み出すための最小ユニットを探索することを目的とする。今年度は、前年度までの結果をふまえて、Kai生物時計を大腸菌内で安定に駆動させるために、次の3点において検討した。(1)培地を変更し、菌の安定な増殖速度を保つことが可能になった。(2)3つのタンパク質の発現量を制御するために新しく構築した発現系を用いて3つのタンパク質の発現量比とリズムの安定性を解析した。その結果、リン酸化リズムを維持するには、試験管内再構成に用いる量比ではなく、細胞内でのタンパク質量比を保つことが必要であることが示唆された。(3)レポーター遺伝子を導入した大腸菌において遺伝子制御解析を実施した。一方、前年度までに作製した、光合成細菌の形質転換体において、3つの時計タンパク質の発現解析をした。その結果、どのタンパク質も細胞内で発現していることが確認され、KaiCのリン酸化状態の変動も確認できた。また、温度による同調が可能であることを示唆する結果が得られた。
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Plant and Cell Physiology
巻: 56 ページ: 334-345
10.1093/pcp/pcu165