本研究は、生体と外界との接点近傍に位置する免疫器官を用いて、主に抗菌物質を中心とした先天的免疫システムとリンパ系細胞を中心とした後天的免疫システムの機能的な連携、及びホルモンによる本システムの調節機構を解析することを目的としている。 平成24年度は、ウズラ(Coturnix japonica)のファブリキウス嚢からfowlicidin-1、-2、-3 前駆体をコードするcDNAをクローニングし、このうちfowlicidin-2はグラム陰性菌と陽性菌に対して生育の抑制と膜破壊型の強い抗菌活性を示すこと、また、その前駆体mRNAは主にファブリキウス嚢内腔の上皮細胞に発現していること等を明らかにした。 平成25年度は、fowlicidin-2の生理機能についてさらに検討し、本ペプチドは、① グラム陰性菌外膜の構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)と特異的に結合すること、② グラム陰性菌エンドトキシンを検出するLAL (Lymulus Amebocyte Lysate) 試験によりLPS中和能を持つこと、さらに、③ 作製したfowlicidin-2抗体により、本ペプチドがmRNAと同様にファブリキウス嚢内腔の上皮細胞に主に発現していること等の結果を得た。併せて、④ 分担者によりcathelicidin-B1(chCATH-B1)前駆体のcDNAがニワトリファブリキウス嚢由来のDT-40細胞からクローニング化され、このchCATH-B1のmRNAの発現はLPS処理により増加し、この増加はグルココルチコイドにより抑制されることが示された。
|