研究課題
神経堤細胞の派生物である色素細胞は、その発生過程で異なるサブタイプが分化する。我々は、sox5変異がメダカの白および黄色素胞に発生異常をもたらすことを見出した。本研究は、分子遺伝学的な手法を用いて、神経堤細胞から黄および白色素細胞への運命決定においてSox5が果たす役割を明らかにすることを目的とした。昨年度までの結果から、白および黄色素胞の前駆細胞である黄白共通前駆細胞はpax7陽性であり、その発生にはpax7が必要であることが明らかとなっている。一方、sox5はpax7陽性細胞の一部において発現し、sox5陽性細胞は黄色素胞に分化する。そこで、組換え技術を用いて、黄色素胞を持たないsox5変異体のpax7陽性細胞にsox5を強制発現させたところ、黄色素胞の発生が回復した。このことは、メダカにおける黄色素胞への運命決定にpax7とsox5が協調的に作用していることを示唆する。先行研究により、Sox5は、Sox10との相互作用を通じて、様々な器官や組織の細胞分化を制御することが報告されている。メダカの色素細胞の発生におけるSox5の作用機序を明らかにするため、TALENおよびTILLING法によってsox10(aおよびb)変異体を作製した。sox5;sox10多重変異体における色素細胞の表現型を観察したところ、Sox5はSox10との競合的に働いて、黄色と白色のみならず、黒および虹色素胞の運命選択にも寄与していることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
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