本研究では、イシサンゴの高い再生能力や長寿命の細胞学的基盤を解明することを目的とした。(1)コユビミドリイシでは、TRF法で測定したテロメア長が、精子、プラヌラ幼生、群体と発生が進むにつれ短縮することを見出した。成長速度が速く寿命の比較的短いコユビミドリイシでは、テロメア長に基づく群体の年齢推定が可能なことが示唆された。(2)一方アザミサンゴでは、テロメア長の有意な短縮が検出されず、体細胞組織に高いテロメラーゼ活性が認められた。テロメア短縮速度がサンゴ種間で異なることが示唆された。サンゴ群体の年齢や老化を理解するためには、群体各部における幹細胞様細胞の自己増殖や分化などの理解が必要である。
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