研究課題/領域番号 |
23570086
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
海谷 啓之 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生化学部, 室長 (40300975)
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研究分担者 |
宮里 幹也 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生化学部, 部長 (50291183)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | グレリン / 両生類 / 受容体 / ウシガエル / アマガエル / アカハライモリ / 下垂体 |
研究概要 |
グレリンは1999年に発見されたホルモンで、胃から分泌され、成長ホルモン(GH)分泌や摂食、エネルギー代謝などを調節する。本研究は、両生類においてグレリン受容体を同定し、グレリンのホメオスタシスに対する関与と受容体との連関を明らかにすることを目的としている。 平成23年度は、ウシガエル(Rana catesbeiana)およびアマガエル(Hyla japonica)においてGHS-R1aの同定に成功した。それぞれ374、371アミノ酸からなる受容体タンパク質をコードするcDNAが1種類同定され、互いに84%の相同性を持ち、他の脊椎動物のGHS-Raとの比較からGHS-R1aと推定された。当初、ウシガエルのグレリンの第3位のアミノ酸はスレオニン(Thr3)である一方、アマガエルはセリン(Ser3)であること、またウシガエル下垂体細胞からのGH分泌活性はウシガエルグレリン(Thr3)の方がラットグレリン(Ser3)よりも強いことから、同定した受容体はThr3とSer3の違いを認識すると予想した。ところが、受容体の強制発現細胞系では同程度の親和性を示した。一方、受容体mRNAの組織分布を調べた結果、同定した受容体は間脳や中脳に発現しているが下垂体には発現してないことが明らかとなった。このことは、この受容体がGH分泌に関与していないことを示しており、下垂体には別のグレリン受容体が存在する可能性を示唆している。 また、有尾両生類のアカハライモリのグレリン受容体についてcDNAの探索を行い、378(あるいは362)アミノ酸をコードするcDNAを1種同定した。378アミノ酸の受容体はウシガエル、アマガエル、ヒトの受容体とそれぞれ79%、78%、69%の相同性があった。また、受容体mRNAは脳、胃腸管の他、下垂体、肺、膵臓、腎臓、皮膚などに発現していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、23年度では受容体cDNAの同定と同時に、イモリにおけるグレリンの浸透圧調節に関与する可能性を調べる予定であった。イモリのグレリンは既に同定済みであり、合成ペプチドは作製したが、ウシガエル・アマガエルの受容体に関する研究を本年度中にまとめることを最優先として生理実験等を行ったため、イモリの受容体同定に時間がかかった。そのため、イモリにおける実験が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
23年度にやり残しているイモリのグレリン受容体の機能解析を優先的に進める。それと平行して、当初24年度の予定にある、ヒキガエルのグレリン受容体の同定を進める。イモリを用いた浸透圧調節に関する実験は連帯研究者と連絡を取りながら、実験の計画・実施を進める。また、当初24年度は摂食調節についても検討を行う予定となっている。浸透圧調節実験と実験方法を習う場所が同じであることから、同時に実験検討が進められないか模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度は計画していた受容体の機能評価、浸透圧調節に関する生理実験を行わなかった分、物品費(消耗品)、旅費等が残ることとなった。24年度に計画していた実験を遂行するので、この研究費はその計画実行に充てる。一方、24年度は用いる動物も、検討する生理実験内容も23年度とは異なるため、24年度の研究費は24年度で消費することとなる。
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