尾索類カタユウレイボヤC-タンパク質のcDNAをもとに、ドメイン8から10を含むC末端側領域のリコンビナントタンパク質を作成し、その機能を調べた。共沈実験の結果、既知の哺乳類のものと同様にミオシンフィラメントに結合し、フィラメントの安定化に寄与することが示された。さらにN末端側領域のリコンビナントタンパク質を用いて抗体を作成し、カタユウレイボヤC-タンパク質が心臓の筋原線維A帯に局在していることを明らかにした。この結果は、単に遺伝子レベルで存在していたのではなく、タンパク質として発現・機能していることを明確に示している。これらの研究から、(1)脊椎動物だけではなく原索動物尾索類であるカタユウレイボヤにもC-タンパク質が発現していることを世界で初めて証明した。(2)原索動物と脊椎動物において、C-タンパク質が共にN末端側でアクチンフィラメントに結合し、C末端側でミオシンフィラメントに結合することを明らかにした。この機能特性は脊索動物の進化において高く保存されており、C-タンパク質がサルコメアの形成や維持、及び筋収縮制御に関わる重要な因子であることを強く示唆した。 一方、脊椎動物C-タンパク質の機能を解明するため、マウス速筋型C-タンパク質のN端側領域に対してさらに細かなリコンビナントタンパク質を作成し、機能解析を行った。その結果、ドメイン1と2の間のリンカ―領域とドメイン2にまたがる領域がアクチン結合及びミオシン結合の両方に重要であり、その最小の領域がactin-activated myosin ATPaseの活性に影響を及ぼすことを明らかにした。
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