研究課題/領域番号 |
23570091
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
産賀 崇由 東京医科歯科大学, 教養部, 非常勤講師 (10594286)
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研究分担者 |
服部 淳彦 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (70183910)
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キーワード | 情報交換、米国 |
研究概要 |
本研究は動物の生殖活動に関わる生体リズムが社会的環境により如何に調節されるかについて明らかにすることを目的とする。生体リズムを調節する最も大きな要因は明暗の光サイクルであるが、生殖活動は本来社会的活動であるから同性や異性からの社会的刺激からも大きな影響を受ける。本研究では短日条件下にあるために非繁殖期にあるウズラに雄の鳴声を長日条件下と同様に長時間聞かせ、ウズラが鳴声をどのように脳で情報処理し、生殖に関わるニューロンやホルモンを活性化するのかを調べる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度における研究により、録音した雄ウズラの鳴声を明期の始まりから20時間短日条件(明期8時間:暗期16時間)の雄ウズラに聞かせると、その翌日にサンプリングした脳において生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) mRNAの発現が、血液において生殖腺刺激ホルモンの濃度がコントロール群に比較し著しく増加することが解っていた。昨年度はこの結果を受けて、録音した雄の鳴声を明期の始まりから20時間短日条件のウズラに聞かせた翌日にサンプリングした脳と雄の鳴声を聞かせなかったコントロール群のウズラの脳において(それぞれ4例)、ウズラの聴覚野における発現が異なる遺伝子をマイクロアレイ法により解析した。その結果、録音した雄の鳴声を明期の始まりから20時間短日条件のウズラに聞かせると著しく発現の高まる遺伝子と発現の低下する遺伝子がそれぞれ20-30同定された。その内最も発現の高まる遺伝子と発現の低下する遺伝子の遺伝子産物の局在を免疫染色法により調べたところウズラの聴覚野に存在するニューロンが染色された。本年度はこれら遺伝子の発現変動、発現制御機構、投射領域の同定、受容体を解析しこれら遺伝子がどのようにウズラの生殖活動を制御するのか詳しく分析する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度における研究により、録音した雄ウズラの鳴声を明期の始まりから20時間短日条件(明期8時間:暗期16時間)の雄ウズラに聞かせると、その翌日サンプリングした脳の聴覚野において、雄の鳴声を聞かせなかったコントロール群の脳の聴覚野に比較し、発現が著しく高まる遺伝子と発現が低下する遺伝子が同定された。今後はこれら遺伝子の発現変動、発現制御機構、投射領域の同定、受容体を解析し、これら遺伝子がどのようにウズラの生殖活動を制御するのか詳しく分析する必要がある。平成23年度における研究により、録音した雄ウズラの鳴声を明期の始まりから20時間短日条件の雄ウズラに聞かせると、その翌日サンプリングした脳においてGnRH mRNAの発現が、血液において生殖腺刺激ホルモンの濃度がコントロール群に比較し著しく増加することが解っている。従って、問題は録音した雄ウズラの鳴声を明期の始まりから20時間短日条件の雄ウズラに聞かせるとその翌日に脳の聴覚野において発現が著しく高まる遺伝子と発現が低下する遺伝子の産物が如何にGnRH mRNAの発現を制御するかである。そのために現在はこれら遺伝子産物を含有するニューロンがGnRHニューロンに投射するのかを調べている。これら遺伝子産物を含有するニューロンがGnRHニューロンに直接投射するのならば、これら遺伝子産物をウズラの脳室に投与しGnRH mRNAの発現が変化するか調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度はこれまで得た結果を学会で発表したりや総説で引用したりしたが、本年度はデータが揃って来たので論文にまとめて投稿したい。また学会にも発表したい。そのための論文投稿料や旅費、宿泊費に研究費を使用する必要がある。上記遺伝子産物の解析に必要な試薬等はほぼ揃っているが、追加の試薬や消耗品を購入する必要がある。
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