本研究は動物の生殖リズムが社会的環境により如何に調節されるかを明らかにすることを目的とした。生殖リズムを調節する最も大きな要因は明暗の光サイクルであるが、生殖は本来社会的活動であるから同性や異性からの社会的刺激からも大きな影響を受ける。本研究では短日条件下にあるために非繁殖の状態にあるウズラに雄の鳴声を長日条件と同様に長時間聞かせると発現が著しく高まる遺伝子が同定された。その遺伝子産物の局在を調べたところ、中脳聴覚野に存在するニューロン群が同定された。雄ウズラの鳴声はこれらニューロン群で情報処理され、GnRHニューロンに伝えられ、明暗の光サイクルと無関係にLHの分泌を制御するものと考えられる。
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