研究課題/領域番号 |
23570092
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田守 正樹 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (50236767)
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研究分担者 |
山田 章 独立行政法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所バイオICT研究室, 主任研究員 (80359075)
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キーワード | 生理学 / 動物 |
研究概要 |
棘皮動物はキャッチ結合組織と呼ばれるコラーゲンを主成分とする刺激によって硬さがかわる結合組織を持つ。本研究は、この棘皮動物に独特の結合組織の硬さ変化の機構をタンパク質分子レベルで解明することを目指している。材料としては前年度と同様に、キャッチ結合組織であるナマコの体壁真皮を用いた。前年度は、強い機械的刺激に反応して著しく軟化するシカクナマコの真皮から軟化活性を持つ粗分画標本を得ることに成功したが、今年度は引き続き、この軟化因子の精製を進めた。シカクナマコの真皮の抽出液から、陰イオン交換クロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーを組み合わせて軟化因子を精製した。前年度と同様に、真皮の「硬さ」は動的力学試験で測定し、動的力学試験には細胞を破壊した真皮のTritonモデルを用いた。正常人工海水中にある真皮のTritonモデルに、各画分を添加して軟化活性を持つ画分を探した。実験の結果、ゲル濾過クロマトグラフィーで単一ピークになるまで精製した、ある画分に軟化活性があることがわかった。精製物をSDS-PAGEで分析したところ、クマシーブルーで染まる、ほぼ単一のバンドが検出された。以上の結果から、精製した軟化因子は細胞外基質に作用するタンパク質であることが示唆される。細胞外基質に作用する軟化因子の実体については、これまで、まったく知られていなかったが、本研究によって、軟化因子を高純度で精製することができるようになった。この成果は、キャッチ結合組織の硬さ変化の機構の解明につながる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初、粗分画標本のみが得られている「新規硬化因子」を高純度で精製することを目指したが、これは困難であることがわかったので、この実験は一時休止した。しかし、これまで実体がまったくわかっていなかった軟化因子を高純度で精製することができた。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
シカクナマコの軟化因子については高純度の精製物を得ることができた。今後は、まず軟化因子のN末端のアミノ酸配列を読む実験に着手する。軟化因子のアミノ酸配列がある程度わかれば、その配列をもとにプライマーを設計しRT-PCRをおこなう。軟化因子については、タンパク質の全一次配列の解読を目指す。配列の解読をおこなうのと同時に、軟化因子の作用機構の解明も進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度中にアミノ酸配列を読む実験をおこなう予定であったが、発注時に、この実験に必要な物品が年度内には納入されないことがわかった。代わりに年度末には高純度の軟化因子をより多く精製した。その際の精製には研究費が、それ程かからなかったため残額が生じた。未使用額も次年度の計画のために使用する。
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