研究課題
クマネズミ(the Rattus rattus species complex)においては、毛色多型にも注目し、2つの毛色関連遺伝子領域の地理的変異の解析を行った。小樽および小笠原において観察される全身黒色性の責任遺伝子はMelanocrtin receptor 1 gene (Mc1r) であることが判明しているが、約200kbのハプロタイプ構造の解析を行ったところ責任変異周辺には明瞭な連鎖不平衡が観察された。当該責任変異は進化的に最近生じたことが示唆され、黒色性はヒトのヨーロッパへの展開に伴って生じたとするKambe et al.(2011)の仮説を支持した。一方、沖縄のクマネズミに観察された全身黒色性関しては、クマネズミ38個体における候補責任遺伝子Agouti signaling protein(Asip)の全アミノ酸コード領域の塩基配列の解析により、Asipがのエクソン4上に責任変異が存在することが明らかとなった。また、広範なアジア地域より収集したクマネズミについてエクソン2、エクソン3、エクソン4に関するハプロタイプ構造を調査した結果、6つの遺伝的に分化した系統の存在が示唆された。さらにこれらの系統間の組換えハプロタイプも観察され、ヒトのユーラシアへの歴史的展開以前に自然状態下で交雑していた可能性が示唆された。また、前述の全身黒色性の責任変異は東アジアにおいて生じた可能性も示唆された。
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