研究課題/領域番号 |
23570102
|
研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
高久 元 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40236203)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 分類学 / 生物多様性 / トゲダニ目 / 記載分類 |
研究概要 |
トゲダニ目の中でも種多様性が高いハエダニ科,トゲダニ科に焦点を当て,また,調査地域を温帯域の日本と熱帯域のインドネシアとして,トゲダニ目の多様性解明の研究をスタートさせた。平成23年度は土壌性ハエダニ類,トゲダニ類を明らかにする目的で主に北海道東部での土壌採集を行い,ダニ類を抽出した。土壌からのダニ類のソーティング,ダニ類の同定作業を現在も継続中であり,それらダニ類の中には未記載種,未記録種を多数含むものと思われる。また,インドネシアのハエダニ類に関しては,研究協力者のハルティニ氏,ディアン氏がカリマンタン島東部で採集したハエダニ類の分類学的研究を共同で進め,現在,未記載種数種を含む記載論文を作成中である。また,ハルティニ氏らがジャワ島で採集したハエダニ類の未記載種に関して3編の記載論文にまとめ,2編は既に受理済,1編は投稿準備中である。 本研究では分類学的研究に並行して,若手記載分類学者の養成を目指している。平成23年度は都合により,若手研究者対象のセミナーを開催することはできなかったものの,大学院生1名および農業試験場関係者1名に対して,トゲダニ類の同定の基礎的技術を教え,トゲダニ類の若手分類学者養成の基盤作りの一助となった。また,本研究費と直接関わるものではないが,日本産土壌動物の改訂版作成に加わり,検索表の原稿を作成し,今後トゲダニ類の同定を行う際の利便性を高める工夫をした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,平成23度は道内で幅広く調査を行う予定であった。また,若手分類学者養成のためのダニ類の分類・同定に関するセミナーを開催する予定であった。しかし,平成23年度は研究代表者が6月から8月にかけて長期入院・自宅療養することとなり,北海道内での調査に適した時期に調査を行うことができなかった。また,セミナーに関しても,最も参加者を集めやすい時期である夏休み期間中に活動できなかった。それらのことから,本研究の平成23年度の進捗状況は,やや遅れ気味であるとせざるを得ない。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降,北海道内での土壌性,便乗性ハエダニ類,トゲダニ類の調査を継続しながら,本州,九州などに調査範囲を広げ,日本国内の土壌性および便乗性ハエダニ類,トゲダニ類の多様性を明らかにしていきたい。調査を通じて明らかになった未記録種,未記載種に関しては,随時,記載論文を作成し,国内外の専門誌に投稿する予定である。インドネシアのハエダニ類に関しては,まずは大スンダ列島(ジャワ,スマトラ,カリマンタン)のハエダニ相を明らかにすることを目標にし,その後,周辺地域の中でも主要な島嶼であるスラウェシ島のハエダニ類を明らかにしたい。 若手分類学者養成のセミナーに関しては,平成24年,平成25年に各1回を予定し,その他にも,トゲダニ類の分類・同定に興味のある農業試験場関係者,大学院生,学部生などに対する講習会もできる限り随時開催し,トゲダニ類の分類学に対する関心を高めていきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は研究材料であるトゲダニ類の調査・採集のための旅費に研究費の多くをあてる予定である。平成23年度に調査を実施できなかった北海道南部,北部での採集に加えて,本州(主に東北地方)での採集を予定している。また,研究協力者とともにインドネシア・カリマンタン島西部での調査・採集を予定している。さらに,若手分類学者養成のためのセミナー開催の際の旅費としても使用する予定である。 旅費以外には標本作製に必要なガラス器具類,試薬類などの消耗品費として使用する予定である。 また,受理済み論文2編が,平成24年度中に出版予定であるため,それらの別刷代金として使用する予定である。
|