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2013 年度 実施状況報告書

水生ガガンボ類の幼生期解明と環境指標生物としての利用

研究課題

研究課題/領域番号 23570104
研究機関弘前大学

研究代表者

中村 剛之  弘前大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00526486)

キーワード種多様性 / 水生昆虫 / 幼虫 / 双翅目 / 環境指標
研究概要

青森県と秋田県にまたがる白神山地とその周辺で設定した調査地点、関東~東海地方で確認種数を増やすため水生ガガンボ類の幼虫の採集とデータの収集を行った。調査した環境はこれまで通り河川の上流から下流にかけて、小沢、水溜まり、湿地(水田、休耕田を含む)、清水の流れる崖、小規模な滝周辺、木や岩のくぼみにできた水溜まりなどである。また、栃木県立博物館、滋賀県立琵琶湖博物館から提供を受けた水生ガガンボ類の標本の調査を継続して行った。これらの標本は形態の観察と記載のため、解剖を行った。
調査の過程で日本最大のガガンボであるミカドガガンボ Holorusia mikadoの幼虫形態の詳細が明らかになった。本属で幼虫形態が明らかとなっている種は北米産の種に続く2種目である。本種は腹部末端部の形態によって、他のよく似た属(例えばガガンボ属Tipulaなどの種)と明確に区別できることがわかった。また、三重県櫛田川から幼虫が水生であるHexatoma (Eriocera)亜属の未記載種が確認されたことも特筆すべき点である。本種は雄が短翅で飛翔することができず、砂の上を走り回って交尾相手を捜す。雄だけが短翅となる双翅目は世界的にも極めて稀であり、ガガンボ類では本種が初めての発見と思われる。本種は配偶行動や翅の退化に関する進化学的研究の対象として今後重要なものとなる可能性がある。
この年度の研究成果の一部は日本昆虫学会大会、研究所の紀要で発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

成虫まで飼育することにより種の特定ができたガガンボ類の種数が予定通りに増えていない。飼育方法が確立できていないことと、昨年9月の大雨による水害で調査地のいくつかが完全に流失してしまい(川の流れまで変わってしまった)、継続的な調査ができなくなったことが大きく影響している。

今後の研究の推進方策

昨年度調査できなかった九州、北海道でのサンプリングを行い、多様な環境に生息する分類群の幼虫の飼育を試みる。環境条件のデータ、標本の収集に力を入れる。飼育が難しい種についてはDNA塩基配列を成虫と比較することによる同定も試みる。
研究の成果は8月にドイツで行われる第8回国際双翅目学会、日本昆虫学会等、学会誌等で積極的に公表する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Immature stages of Tipula (Emodotipula) holoteles Alexander, 1924 (Diptera, Tipulidae)2014

    • 著者名/発表者名
      Takeyuki Nakamura
    • 雑誌名

      Shirakami-Sanchi

      巻: 3 ページ: 33-37

    • 査読あり
  • [学会発表] 日本産ミカドガガンボ属の分類学的研究

    • 著者名/発表者名
      中村剛之
    • 学会等名
      日本昆虫学会
    • 発表場所
      北海道大学農学部

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公開日: 2015-05-28  

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