研究課題/領域番号 |
23570107
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
上原 浩一 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (20221799)
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研究分担者 |
野村 昌史 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (50228368)
伊藤 元己 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (00193524)
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キーワード | ミヤコグサ / 進化 / 系統地理 / マイクロサテライト |
研究概要 |
ミヤコグサは日本に自生(史前帰化)するマメ科植物で、ゲノム解析が行われており、様々な遺伝情報が公開されている.本研究は公開されたマイクロサテライトマーカーを用いて、各地のミヤコグサ野生集団の遺伝解析を行い、生殖様式や分子系統地理について検討した。解析の結果、北海道、本州、四国、九州の集団と、南西諸島の集団で遺伝的に異なっていることが明らかになった。対馬で得られた集団も本州型であることから、日本のミヤコグサは南方から南西諸島を北上したグループと、朝鮮半島から対馬を経て本州各地に分布拡大したグループがあることが考えられた。ミヤコグサは、集団内において遺伝的多様性は高くなく、野生集団においても自殖性の植物であるといえる。しかし、集団間にはSSRマーカーにおける反復数による違いが数多く確認された。とくに種子島の集団は他の集団よりも比較的多くの平均対立遺伝子数(Na)と高いヘテロ接合度の期待値(He)が確認でき、遺伝的分化が地域によって進んでいる可能性が示唆される。また、自殖性であるモデル植物シロイヌナズナにおいても訪花昆虫による他殖がわずかながら確認されており、ミヤコグサにおいても地域ごとに訪花昆虫の違いなどの生態的要因によって遺伝的多様性に影響が生じた可能性が考えられた。
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