研究概要 |
パラオ諸島に生息する陸産貝類の在来種で最も多様性の高いグループであるゴマガイ科について、これまでの調査で採集されたサンプルにもとづいて分類学的再検討を行った。パラオ産ゴマガイ類に対してはHungerfordia, Pseudopalaina, Diplommatina, Palainaの4属が用いられて来たが、過去の研究では属の定義が明確でなく、しばしば同じ種の属位が頻繁に変更されてきた。これまでの分類ではほとんど研究されていない軟体部や蓋、貝殻の内部形態を詳細に比較し、また分子系統解析も行って属レベルの分類を再検討した結果、1)パラオ産ゴマガイ類は、HungerfordiaとPalainaの2属に分類するのが妥当であり、2)PseudopalainaはHungerfordiaのシノニムとなる、3)Hungerfordia、Palainaはいずれも軟体部の形態にもとづく再定義が必要である、4)Diplommatinaはパラオ諸島には生息せず、Palaina属に含められている種は属位を再検討する必要があることが判明した。また、パラオ諸島産ゴマガイ類として最も特徴的な形態を示す、Hungerfordia属の縦肋が強く突出する種群を中心に分類学的再検討を行ったところ、これまでの分類で重視されてきた貝殻の外部形態には著しい種内変異を示すものがあることも判明した。
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