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2011 年度 実施状況報告書

ヘビ類における頚背腺の進化:形態・行動・生理からの統合的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 23570115
研究機関京都大学

研究代表者

森 哲  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80271005)

研究分担者 鳥羽 通久  (財)日本蛇族学術研究所, その他部局等, その他 (40109856)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード国際研究者交流 / 進化 / 行動学 / 爬虫類学 / 防御器官 / ヘビ類
研究概要

本年度は、各国の海外共同研究者に、標本の採集と日本への輸送手続きの準備の依頼をすることから開始した。しかしながら、より詳細な打合せを始めかけた矢先である8月に研究分担者の鳥羽通久が急逝した。鳥羽はアジア各国の共同研究者との長年の交流関係を持っていたので、海外研究者との交渉は主に鳥羽の担当であった。これに伴い、代表者の森がすべてを担うことになり、交渉開始は予定より大幅に遅れてしまった。しかしながら、最終的にはベトナム、台湾、マレーシア、およびスリランカの共同研究者とコンタクトをとり、作業を開始することができた。 12月にはベトナム国立博物館を訪問し、Nguyen Thien Tao研究員の協力のもとフィールド調査に赴き、Rhabdophis subminiatusを採集し、行動実験や頸腺毒の抽出を行なった。さらに同博物館所蔵の液浸標本を借り受け、頸腺の微細構造の分析に取りかかった。台湾に関しては、国立屏東大学のTein-Shun Tsai助手と交渉し、彼の協力を得てR. swinhonisを入手し、その頸腺成分を抽出した。マレーシアとスリランカに関しては、現地での調査および採集許可等の申請手続きをIndraneil Das教授およびAnslem de Silva博士の協力を得て行なった。また、中国産のMacropisthodon rudisの妊娠雌を購入し、飼育下で産仔させたのち、これらの仔ヘビを用いた防御行動および餌の嗜好性実験を行なった。以上で得られた生体からは、系統解析のためのDNAサンプルを採取した。 1月には渡米し、チャールストンで開催された統合比較生物学会大会での発表を行なうとともに、米国の共同研究者と頸腺抽出物質の今後の化学分析手順などについての打合せを行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究分担者の鳥羽通久が8月に急逝したため、鳥羽が担当予定であった海外共同研究者との交渉が遅れた。これにより、海外でのヘビ類の採集や日本への輸送の手配に手間取り、行動実験の進捗や頸腺成分の抽出作業が計画よりやや遅れている。

今後の研究の推進方策

次年度は海外共同研究者との連携を深め、各国でのヘビの採集と日本への輸送を推進する。研究代表者自らがベトナム、台湾、マレーシア、スリランカを訪問し、各国の海外共同研究者に会って、共同計画の具体的な推進方法を討議する一方、可能な限り各国のフィールド調査にも参加し、ヘビの採集を試みる。さらに、渡航した際には効率的な行動実験やサンプル採取ができるよう、予め訪問先の共同研究者にはヘビの採集を依頼しておく。帰国後も、ヘビの採集は継続してもらい、生きたヘビの輸出が可能な国に関しては、個体数が集まったところで随時日本へ輸送してもらう。得られた頸腺抽出サンプルは米国の共同研究者のもとで成分分析を進める。また、DNA組織を用いた系統解析は、京都大学の大学院生およびポスドクの協力を得ながら行なう。 6月初めに中国の成都で開催されるアジア爬虫両棲類学会第5回大会に参加し、本プロジェクトに関する講演を行なう一方、中国の共同研究者としての参画者を募り、次年度の採集許可申請の手続きを開始する。また、研究代表者はインドに共同研究者の候補者の当てがあるため、計画調書に含めていたネパールに代わってインドから必要なヘビを入手する方向とし、その交渉を始める。

次年度の研究費の使用計画

本年度は、海外共同研究者との仲介を担当していた研究分担者の予期せぬ急逝に伴い、海外共同研究者との連絡や交渉に手間取り、結果として全体の進行が予定よりも遅れ気味となった。このため、渡航費や輸送費の執行が計画よりも少なくなった。 次年度はこの遅れを取り戻すために、渡航費、現地での補助者の雇用費、標本や組織サンプルの輸送費に余裕をもった予算を計上する必要がある。さらに実験個体のヘビの飼育、頸腺成分の化学分析、系統解析のためのDNAサンプルの分析にかかる諸経費も当初の計画よりも多く見積もる必要がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 その他

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ヘビが持つ第2の毒器官の機能:ヤマカガシによるヒキガエル毒の再利用2011

    • 著者名/発表者名
      森 哲
    • 学会等名
      日本動物学会近畿支部研究発表会(招待講演)
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2011年5月14日
  • [学会発表] Sequestration of Defensive Toxins by the Asian Snake Rhabdophis tigrinus: Effects of Local Prey Availability and Maternal Diet

    • 著者名/発表者名
      Hutchinson, D.A., Mori, A., Savitzky, A.H., Burghardt, G.M., Nguyen, C., Meinwald, J., and Schroeder, F.C.
    • 学会等名
      Annual Meeting of the Society of Integrative and Comparative Biology
    • 発表場所
      North Charleston Convention Center
    • 年月日
      2012年1月7日
  • [図書] 生き物たちのつづれ織り2011

    • 著者名/発表者名
      森 哲
    • 総ページ数
      111-118
    • 出版者
      京都大学グローバルCOEプログラム「生物の多様性と進化研究のための拠点形成」

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公開日: 2013-07-10  

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