本年度は中国、マレーシア、およびスリランカでの調査を中心に行なった。中国へは9月に赴き、成都生物研究所を訪問してTang教授ならびにDing准教授と共同研究の方針について協議した。その後、四川省南部へ向かい、R. nuchalisおよびR. pentasupralabialisを採集した。これらは、胴体全体の背部に腺を持つ種であり、成都生物研究所にて、その防御行動の実験、頚背腺毒の抽出、解剖による頚背腺の観察を行った。 マレーシアへは11月から12月にかけて赴き、マレーシア大学ボルネオ校のIndraneil Das教授と共同研究の方針について打合せするとともに、Rhabdophis conspicillatus、R. murudensis、Macropisthodon flaviceps、およびM. rhodomelasの採集を試みた。野外調査が短期間であったこともあり、これらのヘビを捕獲することはできなかったが、ボルネオ産のRhabdophis属の種に関しては、Das教授が既に採取、保管済みのDNA用サンプルを提供していただく同意を得た。 スリランカへは12月に赴き、Macropisthodon plumbicolor、Xenochrophis piscator、Xenochrophis asperrimus、Amphiesma stolatum、Atretium schistosum等のユウダ亜科ヘビ類を採集した。これらはジャヤワルダナプラ大学へ持ち帰り、防御行動の実験、頸腺毒およびDNAサンプルの採取に用いた。また、採取した頚背腺サンプルの化学分析はペラダニヤ大学のメダワ博士の研究室で実施することになった。 翌年3月21日~24日には米国、中国、台湾、ベトナム、および、スリランカの海外共同研究者合計7名が京都大学に集まってワークショップを開催し、頚背腺の進化に関する国際共同プロジェクトの進捗状況や今後の推進方針を協議した。
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