現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヤドリバエ科の間接産卵型の微小卵型と待機型の一齢幼虫の寄主適応能力を調査のために,累代飼育をおこなった.前者に関して寄主アワヨトウともに順調に飼育がおこなわれた.一方,後者の場合にはほとんどうまくいかなかった.中村氏からアワヨトウの齢期などに注意することを指摘された.これは予想の範囲内であり,今年の様々な寄主に対する実験の際にも留意しながら,おこなう予定である. ブランコヤドリバエ属の分子系統解析では,8遺伝子座(18S, 28S, 16S, 12S, wingless, white, ND5, CO1)を用いて精度の高い系統仮説を提示した.これに基づき,これまでに記録されている寄主昆虫情報を用いて祖先復元をおこない,どのような変遷があったかを雌の産卵行動などから議論した.また,微小卵型のPhrynoとBotriaの両属に関する系統分類学的論文も併せて出版されている.一方,比較形態による関節構造に関する論文がやや遅れている感はあるが,原稿はほとんど完成しており,来年度には出版する予定である. 分子データによる双翅類の高次系統解析も継続している.いくつか分類群間での遺伝子置換率の違いやプライマーの設計などの問題点もあるけれども,予定通り進んでいるといえる.
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