1.日本産淡水生地衣類のうち,特に被果地衣について着目し,以下の属について種多様性を明らかにした.①マルゴケ属Porina:非淡水生種も含む,岩上生・樹皮着生種を対象とし20種を認めた(論文投稿中).②マンジュウゴケ属Strigula:非淡水生種を含む岩上生種を対象とし5種を認めた(論文投稿中).分類以外の分野での利用を考慮し,これらの論文には同定の便を図るため,詳細な記載と図を掲載した. 2.当初の目標であった,日本産淡水生被果地衣類を網羅する検索表を作成した(論文投稿中).これは,上述1の成果,また,前年度までの成果,また,それ以前の研究代表者による研究成果を総合したものである. 3.被果地衣以外の日本産淡水生地衣類および関連群の種多様性を明らかにした.①キツブゴケ属Thelocarpon(日本新産属):日本新産種1種を認めた(論文受理).②コザラゴケ属Gyalidea:1新種を認めた(論文投稿中).③アオキノリ属Leptogium:日本新産種1種を認めた(論文受理). 4.前年度までの調査によって得た標本を詳細に検討し,鹿児島県の地衣類多様性に関する新知見(多数の鹿児島県新産を含む約50種)をまとめた(論文投稿中). 5.国内亜熱帯域は,これまで淡水生地衣類についてほとんど調査が行われてこなかったことから,西表島において野外調査を行い,アナイボゴケ属,マルゴケ属など多くの標本を得た.
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