様々な調査航海によって、日本列島東北沖日本海溝の深海域(水深200~7500 m)から採集された腹足類標本を分類学的に検討した結果、既存研究のある水深2000 m以浅の漸深海帯から185種、それよりも深い水深帯(深海帯~超深海帯)からは173種を認めた。それらの詳細な垂直分布や地理的分布の解析により、幅広い深海域での腹足類の分布様態を明らかにした。広い垂直分布を示す種の多くは深度毎に様々な表現型を示し、それらの詳しい分類学的関係については今後の分子系統的解析が必要となる。また、未記載種と考えられる種が、水深2000 m以深では7割近くを占め、これらの新種記載も今後の課題として残された。
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