これまでの研究ではインジゴ還元菌としてAlkalibacteriumおよびAmphibacillusが知られており、これらの微生物群がインジゴ還元を起こす主要因であると考えられた。これまでの一連の検討で、Oceanobacillus属細菌の一種もインジゴを還元することが解っており、AlkalibacteriumおよびAmphibacillus属以外の微生物もインジゴ還元能を持つことが、示されていた。今回は、仕込んでから比較的時間が経った発酵液も含め複数種の試料について、インジゴ還元菌の選択培地を勘案しつつ新規インジゴ還元微生物の探索を行った。その結果、伊達から得られた長期間還元状態を維持している発酵液から、複数種のBacillus属のインジゴ還元菌を分離することが出来た。それらの多くは、16S rRNA遺伝子配列において既知種と97%以下の相同性を示し、新規性の高いものが多かったことから、今回分離した環境がこれまで研究されてきた好アルカリ性Bacillus属細菌のものとは大きく異なっていることを反映していることが伺われた。また、その他の場所から得られた試料や同じ試料で発酵時間が異なるものについても、選択培地を用いて解析した結果、Oceanobacillus属、Virgibacillus属、Enterococcus属、Facklamia属のインジゴ還元菌が分離された。以上の分離菌の多くは既知種と比較して16S rRNA遺伝子配列において、97%以下のものが多数見られた。以上の結果から、発酵液に存在するインジゴ還元菌の種類は、当初考えられていたよりも多様で、原料、仕込みの仕方、発酵時間等の発酵管理等の違いにより、異なるインジゴ還元菌が存在し得る可能性が高いことが示された。
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