研究課題
本研究は、N結合型糖鎖を分解する酵素であるプロセシンググルコシダーゼIやプロセシンググルコシダーゼII等と相同性を有する機能未知酵素について、立体構造を決定することによりその機能を明らかにし、応用につなげようとするものである。以下、本年度の研究成果の概要を示す。1)プロセシンググルコシダーゼIと相同性を有する酵素について: これまで研究を行ってきた高度好熱菌Thermus thermophilus HB8由来の酵素TTHA0978は、グルコシル/マンノシルグリセリン酸を分解する酵素であることが判明した。グルコシル/マンノシルグリセリン酸は、好熱菌においてストレス応答の際の浸透圧の調節に働く物質、いわゆる適合溶質として知られている物質であり、ここでは本酵素をTt8gmghと略す。今回、Tt8gmgh とグルコースとグリセリン酸の複合体の立体構造を決定したところ、活性中心付近のループの構造が大幅に動いていることが明らかとなった。また、Aspergillus niger由来のプロセシンググルコシダーゼI(AbPGI)について、3.4Å分解能ではあるが立体構造の解析に成功した。これまでに本研究で構造を決定した、大腸菌YgjK、Tt8gmgh、AbPGIを比較すると、サブサイト-1を構成するアミノ酸残基は各酵素の間で保存されていたが、サブサイト+1を構成する残基は、各酵素で異なることが分かった。2)プロセシンググルコシダーゼIIと相同性を有する酵素について: 前年度に引き続きガラクトースを構成糖として含む糖に作用する酵素の研究を行い、精製法を確立した。また、プロセシンググルコシダーゼIIと相同性があり、特徴的な基質特異性を有する酵素であるイソマルトデキストラナーゼについて、その立体構造を決定した。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
FEBS J.
巻: 280 ページ: 4560-4571
10.1111/febs.12424
FEBS Lett.
巻: 587 ページ: 2193-2198
10.1016/j.febslet.2013.05.041