研究課題/領域番号 |
23570133
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 ちひろ 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (10343211)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | ポリシアル酸 / FGF / 酸性多糖 / ヘパラン硫酸 / BDNF / 細胞増殖 / 増殖因子 / ポリシアル酸転移酵素 |
研究概要 |
ポリシアル酸は脳に局在するユニークな生理活性糖鎖であり、これまでその巨大な排除体積による反接着作用のみが考えられてきた。我々は近年ポリシアル酸が、脳に存在する種々の神経作用因子、脳由来神経栄養因子(BDNF)や神経伝達物質(ドーパミン)と特異的に結合し複合体を形成すること、それらの細胞外濃度を制御することにより細胞内へのシグナル伝達を変化させることを明らかにしてきた。本研究では、特に神経作用因子の中でも増殖因子FGF2に焦点をあて、そのポリシアル酸との複合体の性状を詳細に検証すること、FGF受容体(FGFR)との三者会合体の可能性をさぐること、細胞増殖やそのシグナル伝達に及ぼす影響を明らかにすることが目的である。本年度は特にポリシアル酸とFGF2の相互作用解析の方法を確立することを目的とした。ゲル濾過クロマトグラフィーとゲルシフトアッセイによりポリシアル酸とFGF2との直接的な結合の証明を様々なポリシアル酸構造(結合位、重合度、シアル酸組成)とFGF2を用いて行った。またポリシアル酸とFGF2との解離常数の解析には表面プラズモン共鳴法を用いた。特に特異的な結合に対する解離常数を正確に求めるために、カルボキシメチルデキストランコートされている通常のChipではなく、金表面に自己組織膜を形成させ、その表面上に多糖を固相化するという工夫を行った。加えて非特異的な吸着に関しては(GlcNAc)3のセンサーグラムをバックグラウンドとして用いることで、より正確な解離定数を求めることに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリシアル酸とFGF2の相互作用を直接的に解析する方法を確立し、ポリシアル酸とFGF2の相互作用が定量的に解析できるようになったため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、ポリシアル酸のFGF2保持機能をHSとFGF2との関係性と比較する予定であり、計画通りに推進する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度も計画に従って使用する予定である。
|