研究課題/領域番号 |
23570138
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
中村 守彦 島根大学, 産学連携センター, 教授 (20155865)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ユビキチン類似タンパク質 / タンパク質翻訳後修飾 / 結合酵素 |
研究概要 |
本研究の目的は、ユビキチン化に準ずるMNSFβ化を触媒する酵素群を単離・精製・cDNAクローニングしてMNSFβ化システムを明らかにし、他のユビキチン類似タンパク質およびユビキチン システムとの共通点と相違点を明確にすることである。そこで初年度は、MNSFβ化の触媒酵素の精製を試みた。材料は標的タンパク質のMNSFβ化現象を確認しているマウス肝臓のライセートで、陰イオンクロマトグラフィー(DEAE)により粗精製した試料を、GST-MNSFβを結合させたglutathione Sepharose 4Bカラムにアプライして、バッファーで徹底洗浄した。次に、0.1 M glutathione(pH 8.0)により溶出し、限外濾過法により濃縮後、SDS/PAGE 解析(クマシーブルー染色)によってメジャーなバンドを確認した。その幾つかは、抗MNSFβ抗体を利用したWestern Blot法によりその反応性が確認できた。分子量的に結合酵素の可能性が最も高いバンドについて、N-末端アミノ酸配列をエドマン分解法により20残基決定した。公開されているタンパク質データベースの解析結果、MNSFβ化に関わると考えられるタンパク質が同定できた。この研究成果は、MNSFβ化酵素cDNAクローニングへの重要な情報となり、本研究を遂行・成就させる上で極めて意義が大きい。今後も、実施計画に沿って研究を進めてMNSFβ化システムを明らかにし、他のユビキチン類似タンパク質およびユビキチン・ システムとの共通点と相違点を明確にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿って実験を遂行でき、次年度に繋がる成果を上げることができた。具体的には、研究の主目的であるユビキチン類似タンパク質MNSFの結合酵素を、研究計画に忠実に沿ってマウス肝臓抽出物から純化精製し、SDS-PAGE解析によって単一なバンドであることを確認した。そして、そのゲルを取り出して、N-末端アミノ酸配列を20残基決定した。さらにデーターバンクの情報を活用して、ユビキチン結合酵素に準ずるタンパク質の候補を同定した。続いて、本タンパク質、即ち、MNSF結合酵素のcDNAのクローニングに着手した。 以上により、研究目的の達成度を勘案して「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究が順調に進展したため、効率よく研究費を使用できたが、cDNAクローニングの一部を終えていないので、研究費の一部を次年度に繰り越すこととなった。世界的に着目されているユビキチン類似タンパク質の結合酵素のcDNAクローニングが急がれるので、計画通りに研究を遂行できるよう、さらに綿密な計画を立てて、強力に研究を推進する。そして、当初の計画以上の進展を目指す。 尚、研究を遂行する上で障害となる課題等は全くない。
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次年度の研究費の使用計画 |
目的のcDNAのクローニングを完結するために、繰り越した当該研究費を充てる。当初に請求していた研究費は、その計画に沿って使用するが、進捗具合を勘案して、より質の高い研究を遂行する。これまで、目的の結合酵素(ユビキチン化の場合、E1結合酵素に相当)cDNAについてクローニングを進めてきたが、ユビキチン システムのE2,E3酵素に相当する酵素についても、質量分析等によりcDNAクローニングを遂行する。その経費に繰り越した研究費の一部を充てる。 当初は、国際生化学会での成果発表を予定していたが、より充実した情報を世界へ発信できるように、最終年度に国際免疫学会で発表することとした。
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