研究課題/領域番号 |
23570138
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
中村 守彦 島根大学, 産学連携センター, 教授 (20155865)
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キーワード | ユビキチン類似タンパク質 / 結合酵素 |
研究概要 |
本研究の目的は、ユビキチン化に類似したMNSFβ化を触媒する酵素(群)を単離・精製・cDNAクローニングしてMNSFβ化機構を明らかにし、他のユビキチン類似タンパク質およびユビキチン システムとの共通点および相違点を明らかにすることである。 初年度は、MNSFβ化の触媒酵素の精製を試みて、MNSFβ化に関与する可能性のあるタンパク質を同定した。その後、詳細に検討した結果、MNSFβ化を触媒する酵素ではなく、MNSFβが結合する新たな標的タンパク質であることが判明した。そこで今年度は、方法を変えて、MNSFβ化酵素の精製を試みた。具体的には、マウス肝臓のライセートをDEAE陰イオンクロマトグラフィーにより粗精製した試料を、GST-MNSFβを結合したglutathione Sepharose 4Bカラムにアプライして、バッファーで徹底洗浄した。次に、2 mM AMP, 50 mM Tris-HCl(pH 7.5)により溶出し、限外濾過法により濃縮後、この溶出物についてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後に、CBBあるいは銀染色した。目的のバンドを確認した後、抗MNSFβ抗体によりWestern blot解析した。分子量を鑑みてMNSFβ化酵素の可能性が高いバンドについて、MALDI-TOFにより質量解析した。タンパク質データベースの解析結果、目的の酵素と期待でき、且つ新しいタンパク質を同定した。 この研究成果は、MNSFβ化酵素のcDNAクローニングへの重要な基盤となり、本研究を遂行・成就させる上で極めて意義が大きい。最終年度は、実施計画に沿って研究を進めてMNSFβ化システムを明らかにし、他のユビキチン類似タンパク質およびユビキチン・ システムとの共通点と相違点を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画に沿って実験を遂行し、最終年度に繋がる成果を上げることができた。具体的には、研究目的であるユビキチン類似タンパク質MNSFβの結合酵素を、研究計画に沿ってマウス肝臓抽出物から陰イオン交換クロマトグラフィーにより純化精製し、SDS-PAGEおよびイムノブロット解析で単一なバンドであることを確認した。そして、MALDI-TOFにより質量解析したところ、MNSFβ化酵素である可能性が高いタンパク質であることを確認した。続いて、この新規タンパク質のcDNAのクローニングに着手した。 当初の研究計画に照らし、現在までの達成度は十分であると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展し、ほぼ計画に沿って研究費を使用できた。国際生化学会への発表を控え、最終年度に国際免疫学会で発表することにしたため、研究費の一部を繰り越すこととなった。世界的に着目されているユビキチン類似タンパク質のMNSFβ結合酵素のcDNAクローニングが急がれるので、計画通りに研究を完結する。 尚、研究を遂行する上で障害となる課題等は全くない。
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次年度の研究費の使用計画 |
目的のcDNAのクローニングを完結するために、繰り越した当該研究費を充てる。当初に請求していた研究費は、その計画に沿って使用するが、進捗具合を勘案して、より質の高い研究を遂行する。当初は、国際生化学会での成果発表を予定していたが、より充実した情報を世界へ発信できるように、最終年度に国際免疫学会で発表することとしたので、研究費の一部をその海外出張旅費に充てる。
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