研究概要 |
24年度当初計画では昆虫培養細胞の発現系の立ち上げであった。真核多細胞生物由来のタンパク質はコドン頻度や翻訳後修飾等の理由で大腸菌での発現・精製が非常に困難であることが多く、真核多細胞生物の大量発現系として昆虫細胞(Sf9)が良く用いられている。さらに、本課題で扱うタンパク質は蚕由来のものであるので、同じ双翅目の昆虫であるヨトウガの発現系は上手く行くことが期待される。実際に共同研究者の東京大学藤原教授のグループでは、タンパク質の発現量は低いものの、Sf9内で転移活性を確認している(Matsumoto et al, 2004 & 2006)。そのため、細胞培養用に小型インキュベータおよび様々な培養器具を購入した。しかしながら、大学内での遺伝子組換実験の申請が遅くなってしまったため24年度中に実験を開始することが出来なかった。25年度に申請が承認され、4月末の現時点でバクミドの構築とSf9の第一段階の培養が終了している。 追記事項であるが、24年度は本課題とは別のプロジェクトが進み、投稿論文作成にリソースを向けたため本課題の進展が遅れた。別のプロジェクトの成果は、4月末現在論文発表1報(Maita et al, 2012;corresponding)、リバイス中が2報(corresponding1、co-first1)である。 Matsumoto T, Takahashi H, Fujiwara H (2004) Mol Cell Biol 24:105-122. Matsumoto T, Hamada M, Osanai M, Fujiwara H (2006) Mol Cell Biol 26:5168-5179. Maita N, Taniguchi H, Sakuraba H (2012) Acta Cryst F 68:1363-1366.
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