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2011 年度 実施状況報告書

大腸菌複製再開始複合体におけるDnaBヘリケース導入の構造基盤

研究課題

研究課題/領域番号 23570140
研究機関九州大学

研究代表者

阿部 義人  九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60315091)

研究分担者 片山 勉  九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70264059)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード複製再開始プライモソーム / タンパク質-DNA複合体 / タンパク質構造 / DnaT / PriC
研究概要

大腸菌はチミン飢餓状態や紫外線照射などで生じるDNA損傷が原因で一時的にDNA複製が停止することがある。停止後、DNA損傷を修復し、DNA複製はプライモソーム蛋白質複合体を起点に再開始される。本研究はこの大腸菌複製再開始のプライモソーム構成因子であるPriCとDnaTを中心に構造機能の解析を行う。平成23年度はPriC、DnaTの立体構造解明、DNAとの相互作用を含めた機能の解析、PriBのssDNA相互作用部位の解析を行った。NMRにより立体構造を決定したPriCのN末ドメイン、DnaTのC末ドメイン以外のドメインであるDnaTのN末ドメイン、PriCのC末ドメインに関しては結晶化をおこない、結晶を作製しSPRING8にて結晶の評価を行ったが、現時点で構造解析に十分な分解能はまだ得られていない。またPriC、DnaTは一本鎖DNA結合活性を持っており、プライモソーム複合体中における一本鎖DNA領域と結合するのではないかと考えている。そこでNMRの立体構造情報や配列比較に基づいて変異体を作製し、一本鎖DNA結合に重要なアミノ酸の同定をした。さらにPriC、DnaTは多量体形成能を持っており、この多量体形成能がPriC、DnaTの機能と深く関わっていることも明らかとした。また、PriBに関しても種々の変異体を作成し、NMRによる一本鎖DNA結合部位同定の結果を一本鎖DNAとの結合活性の比較から、一部確認することができた。これらの知見は複製再開始複合体プライモソームに関する新たな知見であり、今後の解析に役立って行くものと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はPriC、DnaTの立体構造、機能の解明を目指すことを主な目的としており、平成23年度は立体構造解析としてDnaT、PriCの一部ドメインの結晶化に挑戦し現在各5オングストローム、4オングストロームの分解能の結晶を得ることができている。また、機能に関してもssDNA結合部位を立体構造および配列情報などから推定し、その変異体を作成し、結合部位を決定することができている。また、PriBにおいてはNMRの結合実験の結果から二層性の結合が有ることが知られており、その知見に基づいてそれぞれの結合部位の変異体を作製した。一部の変異体では結合の低下が起こっており、今後二層性の結合と以前から報告されているCooperative binding との相関を見ていく準備ができた。これらの結果は当初の目的とほぼ一致しており、充分に評価できると思われる。

今後の研究の推進方策

研究はほぼ当初の計画通りに進んでいる。そのため概ね申請書に書いた計画に従って行う予定である。現在進行中のDnaT、PriCに関してはX線結晶解析による立体構造決定を引き続き行う。また、ssDNAだけでなく、他のプライモソーム因子との相互作用部位の決定を行っていく。さらに申請書にも書いたように1)各プライモソーム構成因子の欠損株を国立遺伝研究所から譲渡してもらっており、これらの表現型の解析を行っていく、2)プラモソーム再構築によりin vitroでの DnaB loading活性測定系を構築する等を行っていく予定である。これらの解析により、プラモソームにおけるPriC、DnaTの役割が更に明らかになるのではないかと考えている。また現在PriC、DnaTの結果に関してはこれまでの解析を論文にまとめ、発表する予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度はタンパク定量などに必須であるUV検出器の老朽化により、検出器の更新を行ったが、平成24年度は特に備品の購入は考えていない。新たな実験系を立ち上げるための試薬等の消耗品費が主な出費になるものと考えている。また、23年度の結果を種々の学会に発表するため、またX線結晶解析解析の為にSpring8へ行くための旅費なども必要である。また、論文発表のための英文校正、印刷費などもその他の出費として計上したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Arg 901 in the AE1 C-terminal tail is involved in conformational change but not in substrate binding2012

    • 著者名/発表者名
      Takazaki S, Abe Y, Yamaguchi T, Yagi M, Ueda T, Kang D, Hamasaki N
    • 雑誌名

      BBA-Biomembranes

      巻: 1818 ページ: 658-665

    • DOI

      10.1016/j.bbamem.2011.11.019

    • 査読あり
  • [学会発表] DNA複製再開始因子PriCの機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      荒牧 峻彦、阿部 義人、古谷佳織、片山 勉、植田 正
    • 学会等名
      日本タンパク質科学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011.06.07

URL: 

公開日: 2013-07-10  

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