研究課題/領域番号 |
23570140
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿部 義人 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60315091)
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研究分担者 |
片山 勉 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (70264059)
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キーワード | 複製開始プライモソーム / 蛋白質-DNA複合体 / 蛋白質構造 / DnaT / PriC |
研究概要 |
大腸菌はチミン飢餓状態や紫外線照射などにより生じるDNA損傷が原因で一時的にDNA複製が停止した後、DNA損傷を修復し、DNA複製は再度プライモソーム蛋白質複合体を起点に開始される。本研究はこの大腸菌複製再開始のプライモソーム構成因子であるPriCとDnaTを中心に構造機能の解析を行った。平成24年度は前年度の続きとしてPriC、DnaTの立体構造解明、DNAとの相互作用を含めた機能の解析、PriBのssDNA相互作用部位の解析を行った。NMRにより立体構造を決定したPriCのN末ドメインにおいては、DNAと弱く結合する部位を同定し、立体構造と共に論文に投稿する準備をしている。またPriCは一本鎖DNA結合活性を持っており、プライモソーム複合体中における一本鎖DNA領域と結合するのではないかと考えている。そこで配列比較情報に基づいて変異体を作製し、一本鎖DNA結合に 重要なアミノ酸の同定を行った(論文審査中)。DnaTにおいてはN末ドメインの結晶化をおこない、結晶を作製し放射光施設SPRING8にて結晶の評価を行ったが、現時点で構造解析に十分な分解能は得られていない。しかし結晶化条件の最適化を行い、再現性の高い結晶を得ることに成功している。また、各ドメインの機能をDNA-蛋白質、蛋白質-蛋白質間の相互作用を中心に調べることができた。PriBに関しては一本鎖DNAとの結合が二段階に起こることを種々の測定により明らかとした(論文準備中)。これらの知見は複製再開始複合体プライモソームに関する新たな知見であり、今後の解析に役立って行くものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はPriC、DnaTの立体構造、機能の解明を目指すことを主な目的としているが、DnaT、PriCの一部ドメインの結晶を再現性よく得ることができるようになってきた。また、機能に関してもssDNA結合部位を立体構造および配列情報などから推定し、その変異体を作成し、結合部位を決定することができている。これらの情報をもとに本年度はin vivoにおける機能解析、およびDNA-PriB-DnaTの三者複合体における各分子間の相互作用を検出する系を新たに立ち上げ、構造的見地に基づく機能の解析を行うことが現在出来るようになってきている。また、PriBのDNA結合、PriCの機能解析、DnaTの構造、機能解析に関しては、学会発表を行うことができた。さらに順次これらの論文を投稿して行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究はほぼ当初の計画通りに進んでいる。そのため概ね申請書に書いた計画に従って行う予定である。現在進行中のDnaT、PriCに関し てはX線結晶解析による立体構造決定を引き続き行う。また、他のプライモソーム因子との相互作用部位の決定を行 っていく。特に複製に関して重要なDnaBヘリカーゼとの相互作用を重点的に調べて行く予定である。これらの解析により、プラモソームにおけるPriC、DnaTの役割が更に明らかになるのではないかと考えている。またPriB、PriC、DnaTの結果に関してはこれまでの解析を論文にまとめ、発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は24年度に新たに立ち上げた実験系のための試薬等の消耗品費が主な出費になるものと考えている。また、24年度の結果を種々の学会に発表するため、またX線結晶解析解析の為にSpring8へ行くための旅費なども必要である。また、論文発表のための英文校正、印刷費 などもその他の出費として計上したい。
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