研究概要 |
大腸菌においてはチミン飢餓状態や紫外線照射などで生じるDNA損傷が原因で一時的にDNA複製が停止することがある。その後DNA損傷の修復が起こり、複製再開始DNA-タンパク質複合体を起点にしてDnaBヘリカーゼの導入が起こることによって、DNA複製は再開始される。本研究ではDNA複製再開時に必要な再開始複合体構成因子の構造機能解析を中心に行った。特に我々はそれら因子の中で一本鎖DNAタンパク質であるPriB、DnaBヘリカーゼと直接相互作用すると考えられるDnaTおよびPriCに関して研究を行った。すなわちPriBと一本鎖DNAとの相互作用をNMRを用いて調べ、その相互作用が2段階に起こることを証明した(Fujiyama et al 2014, BBA)。また、PriCの一本鎖DNA結合、構造に関しての報告も行った(Aramaki et al 2013, Protein Science, Aramaki et al 2013, Genes to Cells)。さらにPriCと一本鎖DNAおよびSSBとの相互作用を23種類の変異体を作成することで解析し、その相互作用部位を調べた(論文投稿中、major revision)。またDnaTの構造と機能に関しても、NMRで解析した立体構造を元にした機能解析についてまとめ、現在論文投稿中である。また、DnaBヘリカーゼとの相互作用解析に関しては現在進行中であり、今後も複製再開始がどのように起こるのかを構造生物学的見地から解明して行く予定である。
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