研究課題
LGN N末端側TPRドメインはさまざまなパートナー分子への結合部位であるが,分子内相互作用に関わるLGN自身のC末端領域もLGN TPRドメインに結合する. 当該年度は,LGNの詳細な分子機構を明らかにするために,全長型LGNタンパク質を用いてLGNの分子内相互作用がパートナー分子との結合に及ぼす影響ついて生化学的な検討を行った.LGNはGαi非存在下でmInscに結合し,Gαiの濃度依存的にmInscとの結合が増強されることを示した.また,Gαi非存在下ではNuMAに結合しないが,Gαiの濃度依存的にNuMAとの相互作用が増強することを確認した.一方,LGN TPRドメインはGαi非存在下でmInscにもNuMAにも効率よく結合することができる.全長型LGNは分子内相互作用を持つことで,パートナー分子に対して異なった応答を示した.昨年度に引き続き,全長型LGNの結晶化を試みた.完全長LGNタンパク質は高濃度でアグリゲートする傾向があったので,N末端側とC末端側の種間での保存性の低い領域をトリミングしたタンパク質を作成した.タンパク質の性質は改善し結晶化スクリーニングを進めているが,現在までに回折実験に適した結晶は得られていない.また,昨年度検討した分子内相互作用に必要なC末端領域に着目し,LGN TPRドメインとの間のリンカー領域を短縮したタンパク質を作成した.TPRドメインからC末端領域へ連結した場合,全長型タンパク質同様に単量体で存在した.逆にGoLocoモチーフから TPRドメインに連結した場合,多量体を形成した.このことから適切な分子内相互作用を維持するためにはLGN TPRドメインからC末端領域へ連結する必要があることが示された. 現在,リンカーの長さを最適化し結晶化スクリーニングを進めている.
すべて 2013
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 435 ページ: 414-419
10.1016/j.bbrc.2013.04.103