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2011 年度 実施状況報告書

翻訳開始因子による情報伝達機構の構造生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23570143
研究機関島根大学

研究代表者

尾林 栄治  島根大学, 医学部, 助教 (50321740)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードタンパク質 / 立体構造解析 / 翻訳
研究概要

タンパク質翻訳開始因子複合体は、単に生物の基本的生命活動にとって重要なものであるだけでなく、新規抗生物質やウイルスやがんに対する新規薬剤開発のターゲットとしても近年注目を集めている。これまでにリボソームの立体構造が明らかにされ、ノーベル賞を受けるなど、その構造から抗生物質の開発の期待が高く寄せられている。本研究が特に注目しているのは、翻訳開始因子(eIF)によるリボソームの翻訳開始地点の認識から、実際に翻訳が開始される間の情報伝達機構である。本研究では、この過程に関わるeIF複合体の構造をX線結晶構造解析法及びNMR法により明らかにすることを目的に研究を進めるとともに、構造解析が成功した際には、その立体構造を基にして、酵母を利用した生化学的手法により、翻訳開始情報伝達機構に迫る。eIF複合体を形成する一つの蛋白質であるeIF1は、正確な翻訳開始地点の認識に必須であり、eIF複合体が開始地点を認識すると、eIF1が複合体から解離することが報告されている。そのため、eIF1と相互作用すると報告されているeIF3c、eIF5を中心とした複合体の立体構造を知ることは、翻訳開始地点認識によるeIF1の解離及びその情報伝達機構を解明する鍵となる。そこで本研究ではまず、eIF1の発現系の構築及び精製を行い、eIF1の立体構造をNMR法により決定した。この構造は、既に報告されている構造と若干異なる部位はあるものの、ほとんどの部位で同じであった。次に、eIF3cのeIF1との結合部位を用いて、eIF1におけるeIF3c結合部位の同定を試みた。しかしながら、eIF1におけるeIF3cとの相互作用部位は広範囲にわたっており、その結合様式の解明にはいたらなかった。そこで今後は、さらに詳細な相互作用部位の解析を行っていくと共に、eIF1-eIF3cとの複合体でのX線結晶構造解析を目指していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

eIF1の精製及びNMRによる構造解析に成功し、相互作用蛋白質であるeIF3cとの結合部位の同定も進んでいる。しかし、当初予定していたeIF1のeIF3cとの複合体としての結晶構造解析には至っておらず、その構造解析にはまだ時間を要することが予想される。今後、結晶構造解析と平行して、さらなるNMR解析による複合体の構造解明が期待される。これらをふまえると、本研究の現在までの達成度は(3)が妥当であると考えられる。

今後の研究の推進方策

平成23年度に行ったeIF1のNMR法による構造解析を、さらに詳細に進めていく。実際には、長さの異なるeIF3cを調製し、eIF1との結合部位をNMR法により明らかにしていく。それと平行して、eIF1-eIF3cの複合体としてのX線結晶構造解析を目的に、その結晶化を試みる。構造解析に成功した際には、その構造を基にした遺伝的・生化学的解析により、eIF1のeIF複合体からの解離が、どのような役割を果たすのか明らかにしていく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に請求する研究費は、主にNMR及び結晶構造解析に必要なタンパク質試料の調製に使用する。また、共同研究の打ち合わせを行うため、横浜市立大学、京都大学及び北海道大学への旅費としても使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Oxygen binding and redox properties of the heme in soluble guanylate cyclase: Implications for the mechanism of ligand discrimination2011

    • 著者名/発表者名
      R. Makino, S.-Y. Park, E. Obayashi, T. Iizuka, H. Hori and Y. Shiro
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 15678-15687

    • 査読あり

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公開日: 2013-07-10  

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