研究課題
(1)酵素因子の精製:TSG-6強制発現したHLF細胞の培養上清の精製区分から、質量分析法で得た8個の候補蛋白質分子を、そのcDNAを細胞発現ベクターp3xFLAG-CMV14に組込み、細胞導入したところ、そのうち1個の候補で、細胞培養上清中から酵素活性が確認された。この候補分子が酵素そのものである決定的証拠を得るため、組換蛋白質の精製と活性確認を計画した。2種類の細胞発現ベクター(p3xFLAG-CMV14とpBFX)と1種類の大腸菌発現ベクター(pCold-GST)を試みたが、融合タンパク質を得ることができなかった。constructを配列確認済みであることや、コントロール発現は問題なくできたことから、発現系自身にミスがある可能性は低い。候補分子の塩基配列又はペプチト配列の特徴によって、DNA又は蛋白質が不安定で、分解された可能性も考慮に入れて、原因を追究中である。(2)two-hybrid法による酵素因子の探索:酵素因子がIaIのカラムに結合し、高塩濃度で溶離されることから、IaIの重鎖(HC1、HC2、 HC3)と親和性を持つと考えられる。この結果から、Two-Hybrid法で酵素因子のクローニングを計画した。ヒトHC1とHC2をBaitとし、GAL4蛋白質の結合ドメインとの融合蛋白質として酵母細胞株AH109に発現させた。それに、HLF細胞由来のcDNAライブラリーとpreyベクター(GAL4 activating domainを含むベクター)とともに導入し、ヒスチジン欠失培地で陽性クローンをスクリーニングした。得られた陽性クローンからHLF細胞由来のcDNAを増幅し、塩基配列を決定した。3回の実験のうち、2回以上スクリーニングされたcDNA4個を得た。これらのcDNAを発現ベクターに組込み、蛋白質発現と酵素活性の確認を行っている。
3: やや遅れている
候補分子の組換蛋白質の調製がうまく行かず、分解系が作用してしまったことが原因であろう。
発現ベクター及び発現システム(無細胞発現システムを含む)を変えて、再度蛋白質の発現を試みる。一方、two-hybrid法で得られた候補因子の解析を急ぐ。
次年度では、候補分子の組換蛋白質の発現失敗の原因を追究しながら、発現システムを改善し、蛋白質レベルにおいて、酵素活性を確認する。確認されれば、この新規酵素蛋白質の抗体を作成し、組織分布、特に炎症組織における分布を調べ、炎症におけるSHAP-HA高次構造体の形成における役割を解析する。さらに、アミノ酸置換実験や構造解析法で、その酵素の活性機構を解析する。さらに、ノックアウト作製に向けて、遺伝子情報の解析とターゲティングベクターの設計を行う。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件)
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