研究課題/領域番号 |
23570148
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木全 弘治 愛知医科大学, その他部局等, 名誉教授 (10022641)
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研究分担者 |
卓 麗聖 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00399031)
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キーワード | 炎症 / 酵素 / 細胞接着 / ヒアルロン酸 / 血清蛋白質 |
研究概要 |
(1)酵素因子の精製:質量分析で得られた8個の候補蛋白質分子について、そのcDNAを細胞発現させて酵素活性の有無を調べ、陽性を示した一個の候補をさらに組換えて蛋白質発現させたが、活性は検出されず、組換え発現蛋白質の性質が不安定で、分解された可能性が強くなった。そこで、TSG6強制発現により酵素因子活性の発現増強させたHLF細胞の培養上清から特異抗体アフィニティーカラムによりTSG6を除き、そのまま酵素の精製に供したが、やはり精製途中で活性を失った。牛血清中に存在する活性は安定であることから、HLF細胞培養上清の酵素源が原因であると考えた。偶然にグリオーマ細胞C6についてDMEM培地だけでも2週間程培養でき、培養上清中に高い酵素因子活性が存在することを見出した。この活性因子は、従来と同様にヘパリンカラムやITIアフィニティーカラムで精製できることが判明したので、現在、急遽、C6培養上清を大量調製し、酵素因子の均一化を目指して精製を試みている。均一化が出来れば、部分アミノ酸配列の情報を得て、当初のproteomix解析で得た8個の候補蛋白質の配列のどれかに一致するものがないかを調べて遺伝子配列を知る。 (2)two-hybrid法を用いた酵素因子の解析: 前年度に使用した候補蛋白質の発現系では、安定発現ができないことが判明したので、本年度は、まず発現システムの改善を試みた。大腸菌発現ベクターpFLAG-ATS及びBL21(DE3)株大腸菌を用いると、蛋白質の発現量自体は高くないが、高割合で可溶性蛋白質として回収されることを見出したので、この発現系を用いて、two-hybrid法で得られた候補因子の融合蛋白質を発現、アフィニティーカラム精製し、マウスITIとの結合活性を調べた。ELISA法では、弱い相互作用が認められたが、ゲルろ過法や免疫沈降法では明確の陽性結果をえられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
蛋白質発現系に問題がある。おそらく強い分解系の働きにより、候補分子の組換蛋白質の調製がうまく行かず、その改善に時間をかけたため、予定より研究の進行が遅れている。酵素蛋白質と思われる遺伝子発現蛋白質の精製による方法とtwo-hybrid法のいずれの方法に現段階では、候補分子であるとの強力な証拠を得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
発現ベクター及び発現システムを変えて、蛋白質の安定発現を再度、試みる。酵素活性の検出及び候補因子であるなどの確かな証拠が得られたならば、予定の蛋白質の性質の検討やノックアウトマウス作成を急ぐ。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度に、活性の検出に至ってないが、大腸菌において融合蛋白質の発現に成功したので、それらの抗体の作成を行う。抗体の特性を確認した上で、炎症反応におけるこれら分子の動態を解析する。また、その生物活性について明確な答えを得るために、哺乳動物細胞や昆虫細胞の発現系を用いて融合蛋白質の作製し、生物活性の解析を行う。生物活性が認められた場合、その生物活性の分子機序を追究する。また遺伝子配列情報から、ノックアウトマウスの作成の準備をする。さらに、製薬に向けて、酵素活性を抑制または増強するような化合物の探索を検討する。
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