研究課題
golgin-84は繋留タンパク質COG複合体やCASPと相互作用することで、ゴルジ体の輸送小胞を正確に標的膜に結合させることが報告されている。本研究は繋留タンパク質が輸送小胞を正確に標的膜に運ぶ機構の解明を目的としてゴルジ体局在タンパク質goginと相互作用をするタンパク質の検索をおこなった。この過程でgolgin-84が特異的なモータータンパク質と相互作用することを新しく見いだした。golgin-84はkinesin2のアイソタイプサブユニットKIF3Cと結合し、これは酵母Two-hy, 免疫共沈、in-vitro pull-down解析で示された。golgin-84ともう一つのkinesin2のアイソタイプサブユニットKIF3Bとの結合は見いだせなく、KIF3C特異的と考えられる。KIF3Cノックダウン(KD)とKIF3B KD細胞におけるゴルジ体で糖鎖の修飾を受けるライソゾーム糖タンパク質lamp1と形質膜糖タンパク質CD44の挙動を観察したところ。どちらのKIF3のKDでもこれらの糖鎖タンパク質の糖鎖の修飾に変化は見られなかった。このことはKIF3B,Cともにゴルジ体間及びゴルジ体―小胞体間のretrogradeな輸送には関与しないことを示唆する。さらにKIF3C KD細胞においてlamp1の蓄積がKIF3B KDによってCD44の集積がおこることが観察された。このことはKinesin2アイソタイプがそれぞれ異なったpost-Golgiの輸送にかかわっていることを示している。おそらくKIF3Cがトランスゴルジ体からライソゾームへの、KIF3Bが形質膜からトランスゴルジまたは、トランスゴルジ体からエンドソームの輸送へ関わっていると考えられる。今までkinesin2(kif3A+kif3B) はER-Golgi間retrograde 輸送に働くと考えられてきたが、我々の結果はkinesin2のアイソタイプがそれぞれ異なった新しい働きをすることを明らかにした。
3: やや遅れている
概要に述べた繋留タンパク質golgin-84とkinesin2の相互作用がpost-Golgi の小胞輸送に関わっていることをほぼまとめて、論文投稿中である。
我々のgolgin-84と相互作用タンパク質CASPとの関係解析結果やkinesin2(kif3A+kif3C)とCASPの相互作用の証明はこれまでのCASPの機能を考えなおす必要をもたらした。さらにゴルジ体間逆輸送に関係するgolgin-84とCOG複合体の相互作用とpost-Golgi小胞輸送へのgolgin-84の使い分けについてどのような機構により調節されているかの解析が重要である。
現在投稿中の論文が実験の追加、修正による変更を求められていて、再投稿論文の受理に到達するのが予算の執行期限内(平成25年度末)では困難であると予想される。ついては論文の英語校正、投稿・掲載費用に予定していた予算が未使用となった。現在の進捗からかんがみて、予算を正しく執行するには1年以内の延長が必要である。論文の英語校正及び論文掲載料
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